今回ご登場いただくのは、JA摩周青年部の牧之瀬佳貴さん。千葉県出身で、奥さんと子どもを連れて弟子屈町で新規就農した期待の酪農家です。目指す酪農や、9月の胆振東部地震の影響などについてお話を聞きました。
酪農にはストレスがない
千葉県成田市出身の牧之瀬さんは、一昨年の夏から昨年5月まで弟子屈町で酪農研修を行い、今年4月に就農と、まさに酪農家になりたてのホヤホヤ。就農前に結婚して子どもも生まれていたという若きチャレンジャーです。
実は牧之瀬さんも奥さんの智子さんも、カナダの大学に通っていて、ともに東京で就職。牧之瀬さんは歯科医療機器メーカーに5年ほど勤めたそうですが、ある日、何ということもなしに入った北海道の農業イベントで、就農について説明を聞いたのが、酪農を始めるきっかけだったそうです。
「それまでは正直、特に酪農に興味を持っていたわけじゃないんです。でも、今考えると、カナダですごく広い農地を見て、かなり良いイメージを持ったことが影響していたと思いますね。就農してみて、それまでの仕事に比べて酪農にはストレスがないということ、時間に融通が利くということが驚きでした」
放牧中の牛と牧之瀬さん、左が奥さんの智子さんとまだ0歳の仁瑚(にこ)ちゃん
停電で乳牛がピンチに
乳牛26頭から始めた牧之瀬さんの牧場は、今では経産牛で38頭。つなぎではなく、放牧でのびのびと飼育しています。心がけていることは、できるだけ牛を清潔に保ち、廃棄乳や乳房炎を少なく抑えることだそうです。
9月6日の胆振東部地震では、弟子屈町も停電に見舞われ、翌々日まで乳が搾れなかったそうです。「電気が来ないと乳が搾れず、3頭に1頭が乳房炎にかかり、もう少し停電が長引いていたら危なかったです。中には1頭で40㎏も出す牛もいるので、手で搾るのはとても無理ですし、たとえ搾れても電気が来ないと冷やせませんからね」
規模は小さくても放牧でしっかりした経営をしていきたいと話す牧之瀬さん。6次化も視野に入れ、濃厚な乳を出すブラウンスイス種の仔牛も2頭飼育して、将来的にはバター作りにも挑戦していきたいそうです。