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特集記事

2018_07_05 | 2018年 7・8月号 特集 道森連 | , , , | 編集部イーハトーブ

農林中央金庫札幌支店長 府馬和英氏に聞きました
森林の大切さを発信し森を守る

農林中央金庫は、農林水産業の発展を応援している金融機関です。中でも、森林面積が全体の7割にも及ぶ北海道を事業エリアとする札幌支店では、林業再生に向けた様々な取り組みを積極的に行っています。

札幌支店が果たす役割

 

―農林中央金庫札幌支店が北海道の林業に果たす役割は何ですか。

 

府馬

当金庫は、日本の農林水産業を基盤とする協同組織金融機関として、大正12年から事業を行っており、平成35年には100周年を迎えます。
わが国は、国土の約3分の2を森林が占めており、森林面積は約2500万㌶にも及びます。森林の約4割は人が植え育てた人工林です。その人工林は本格的な成熟期を迎えており、木材の利用が低迷し続けると、森林が荒廃し、多面的機能の発揮が難しくなります。林業の担い手不足や高齢化、木材価格の長期低迷などにより、森林の荒廃から端を発する林業の衰退が進んでいる現状があります。もちろん、北海道も例外ではありません。否、更に深刻な状況にあるのかもしれません。森林面積が全体の7割にも及ぶ北海道では、林業を基幹産業としていた数多くの自治体が苦しい状況に置かれています。そのような現場を見るにつけ、ここ数年は林業に関わる事業に特に力を注いでいます。

 

府馬 和英 札幌支店長

 

具体的な取り組み

 

―具体的な取り組み内容を教えてください。 

 

府馬

大きな柱が3つあります。1つ目が森林組合系統の組織力強化です。森林組合は地域の林業の最前線を担っていただいていますが、全ての森林組合が強固な財務基盤を有しているわけではありません。財務の面からもしっかり活動できるように支援していきたいと思っています。また、必要に応じた経営改善指導も行い、人材育成のための研修なども用意させていただいています。

2つ目は施業の高度化支援です。平成17年に公益信託森林再生基金を設立し、荒廃した民有林の再生により森林の公益性を発揮させることを目指してまいりましたが、これを平成26年には農中森力基金(のうちゅうもりぢからききん)として再出発し、引き続き取り組んでいます。結果、両基金累計491件の応募をいただき、うち83件に対して、約6億円の助成を実施しています。
3つ目は木材・国産材の利用・販売拡大支援です。柱になるのが、木製品の寄贈や木育活動などです。このことを通じて、特に、森林・林業や国産材利用の大切さの意義を伝え、中長期的に地域住民が国産材を積極利用する行動につながることを目指しています。この活動は当金庫だけが単独で行っているわけではなく、道内の森林組合を束ねている北海道森林組合連合会(道森連)と一緒に取り組んでいます。この活動は昔から行っていましたが、近年は特に力を入れています。その結果、かなり普及してきたと感じています。

 

北海道林業の未来図

 

―木育の必要性と今後普及させるためにはどのような活動が必要ですか。

 

府馬

一気に木育を普及させることは難しいと思っています。地道な活動になるかもしれませんが、今行っている取り組みを少しずつ広げて、なおかつ、継続していくことが大事だと思います。北海道は木育の発祥地ですからその取り組みはとてもしっかりしています。全国を先導していく気持ちで我々もしっかりやっていきたいと思います。
子どもの時に、木の素晴らしさを教えることは意味があります。森林には、各方面でいろいろといわれているような機能があります。CO²を減らすとか、水源の確保とか、多面的な機能があります。そういう部分は我々は普段はなかなか気付かない。小さい頃から、森に感謝する気持ちを育むことで、感受性が豊かで、穏やかな大人になると信じています。

 

2月には北海道立子ども総合医療・療育センターへ「木のおもちゃ」を寄贈しました

 

「木のおもちゃ」は子どもたちに大人気です

 

―林業の再生を目指して、地方の自治体では真剣に取り組んでいます。そして、少しずつ成果が出てきています。そのようなことを踏まえて、北海道林業の未来図をどのように描いていますか。

 

府馬

北海道の面積の7割は森林で、全国の森林面積の20%を占めています。北海道での活動が全国に波及し、それを先導していくような活動をしていきたいと思っています。木育のような活動をしていくためにも、林業自体が活性化しないと駄目です。当金庫は本来は金融機関ですから、林業経営がしっかり成り立つような金融面での支援はさせていただきますし、そのための、商談、取引の支援、ビジネスマッチングなどを微力ではあるがしっかりやっていきたい。それに、木育とか寄贈とかが合わさって地域が活性化していくと思っています。

これから林業大学校の設立、植樹祭の開催、森林環境税の導入などで道民の関心も高まっていくはずです。これまでは国産材の利用が減って、材の価格も下がるばかりでした。ここにきて国産材の利用が進んでいます。逆に、急に上昇して、その反動で急に下降するのは避けたい。
地道でいいのでしっかりした産業としての基盤をつけていきたいと思います。

 

今日はお忙しい中ありがとうございました。

 

●農林中央金庫札幌支店

札幌市中央区大通西3丁目7番地北洋大通センター14階

TEL: 011・241・4218

 

 

 

 

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