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特集記事

2018_05_06 | 2018年 5・6月号 特集 | , , | 編集部イーハトーブ

外国人に愛される東川町を目指して

東川町の市街地を歩いているとたくさんの外国の方々に出会います。もちろん観光で来られた方もいますが、ほとんどが町内に住んでいる方々です。彼らはなぜ東川町での生活を選んだのでしょうか。外国人にも愛される東川町の魅力を探ります。

なぜ東川町に外国人が集うようになったのか

東川町になぜ、外国の方々がたくさん住むようになったのでしょうか。
振り返れば、1985年に東川町は「写真の町に関する条例」を制定するとともに、「写真の町宣言」で、世界に開かれたまちづくりの創造を目指しました。その中で、国際交流・国際貢献の一環として2009年に「東川町短期日本語・日本文化研修事業」を開始しました。この事業は、1ヵ月から3カ月の短期間で、短期滞在のビザを取得して来町し、東川町に滞在しながら日本語および日本文化について学習するものです。カリキュラムの中には、東川町の自然や特色を生かした写真撮影や木工クラフトの製作、大雪山旭岳の登山、スキー体験など、東川町のことを深く知ってもらい、好きになってもらえるようなプログラム編成になっています。

 

松岡市郎 町長

 

一方、地域住民との交流にも力を入れています。受講生は地域のイベントに参加するだけではなく、自分たちで町民を対象とした文化紹介や料理の試食イベントを企画し、実施しています。また、「日常会話サポートクラブ」として週に1回程度、受講者と住民の交流の場を設けています。受講者が日本語を使って住民とコミュニケーションをすることで、相互理解を促進するねらいがあります。

 

受講者たちの交流もさかんです

 

「少子高齢化が進むこれからの日本社会で、国内だけで人口の出入りを競っていても限界があります。それよりも海外に向けて東川町の魅力を発信し、移り住んでいただく方がはるかに建設的です。その手始めとしてこの事業を行いました」と松岡市郎町長は将来を見据えています。

当初は韓国の方々だけでしたが、その後、台湾、中国、タイ、ベトナム、インドネシア、ウズベキスタンと、受け入れ国や人数が増大し、現在までの受講者数は合わせて2000名を超えています。
「また東川町を訪れたい」「友人にも紹介したい」「とてもいい経験をすることができた」と受講者には好評で、受講後も東川町とつながりを持っている受講者が多く、何度も受講するリピーターやフェイスブックなどのSNSで東川町をPRしてくれる方もいます。
特に、受講者の多い台湾では、2013年に初めて台北市内で同窓会が行われ、同窓生が集まって「台湾東川会」が発足しました。その後、2016年には「東川町日台親善協会」が設立され、台湾との交流が活発になっています。

 

全国初、公立の日本語学校開校

そんな現状の中で、日本語の習得に熱心な受講生からもっと長期間にわたって日本語を学べる学校の設立を望む声が出てきました。
これまでの事業の成功と実績を踏まえ、全国初となる公立日本語学校の設置認可申請を2014年10月に行い、その後、2015年10月1日をもって正式に東川町立東川日本語学校として開学しました。

 

旧東川小学校を改装した東川日本語学校

 

「日本語研修事業を2009年に始めた当初は校舎がなく、町内にある北工学園旭川福祉専門学校の校舎を借りて授業を行っていました。北工学園さんは本校より1年半ほど早く日本語学科を開設していましたが、本校は北工学園さんより短期の1年と6ヵ月のコースを設置して開学しました。一方、町では独自に、韓国、台湾、中国、タイなどに事務所を開設していて、その事務所で生徒を募集してもらっています」と奥山富雄校長は言います。
その後、学生数の増加により教室が不足し、現在の旧東川小学校を前面改装した現在の「せんとぴゅあⅠ」に移りました。
留学生は、基本的に町内にある3つの学生会館に入館します。いずれの施設も朝・夕の2食付で、両学校併せて120名ほどの留学生が生活しています。だから、市街地にあるスーパーの商品名の表示は、英語、中国語、韓国語などで書かれていて、コンビニでは外国の方々の接客も珍しくはありません。

 

奥山富雄 校長

 

授業風景

 

「写真文化首都宣言」で更に外国の方々を呼び込む

2014年3月、東川町は「写真文化首都宣言」を行いました。そこには、『この小さな町で世界中の写真に出逢えるように、この小さな町で世界中の人々と触れ合えるように、この小さな町で世界中の笑顔が溢れるように』と記され、さらに、『私たちは未来に向かって均衡ある適疎な町づくりを目指し、「写す、残す、伝える」心を大切に写真文化の中心として、写真文化と世界の人々を繋ぐ役割を担うことを決意し、ここに「写真文化首都」を宣言します』と記されています。人口が約8000人の町で、外国人住民登録者は約270人を数えます。このような外国の方々に対する寛容な姿勢こそが、ますます外国の方々を呼び込んでいます。

「東川町といえば、写真の町、上水道・国道・鉄道のない町、家具の町、カフェの町、お米を始め美味しい農産物を生産する町と思い浮かべる方々が多いと思います。その中にぜひとも、外国の方々にも愛される町というのも追加してほしい。どんどん外国の方々に来て、住んでいただき、東川町のファンになっていただけるよう、全力でサポートしていくつもりです」と松岡町長は外国人にも愛される東川町を目指します。

 

●東川町役場

上川郡東川町東町1丁目16番1号

TEL: 0166・82・2111

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