今回は「農薬を使用しない病虫害対策」について紹介します。
渡辺農事㈱ 安達 英人 さん
病原菌にはカビ、バクテリア、ウイルスがありますが、いつでも植物の中に入ってくるわけではありません。野菜の抵抗力を高めるようにすることが大切です。
○健康に育てる
野菜の種類にあった温度にして水分や肥料を与え健康に育てることが第一です。
キュウリは一度に多く着果させると、根への負担が大きく、曲り果となり、その後うどんこ病にかかりやすくなります。
適宜、整枝して着果数を制限します。チッソ肥料のやりすぎも病気にかかりやすくなりますので、追肥を考えて元肥は控えめにしましょう。
○畑を清潔に保つ
雑草や病害株は除去して、秋には深く耕しておきます。連作すると肥料分の過不足や病気の発生が目立ちますので、なるべくは避けてください。
○土づくりをする
近年は一度に多量の降雨があるので畑に水が溜まらないように排水対策を十分にしておきます。排水不良によって根傷みとなり、病気になりやすくなります。土に力をつけておくことで野菜の根を広くしっかり張らせます。
○資材の利用
シルバーマルチや銀色テープはアブラムシ除けの効果があります。アブラナ科野菜には青虫がつくので播種や定植後には防虫ネットでトンネルをします。
シルバーマルチダイコン:シルバーマルチ栽培
防虫ネット:シルバーラインが虫除けになります
小松菜はトンネルをかけたままで栽培できます。防虫ネットの編み目の大きさは0.6~0.8㎜が有効です。
トンネルのすそが空いていると虫が入って来てかえって被害が大きくなります。粘着シートをつるしておくのも効果的です。アブラムシは栄養状態が悪くなるとハネがはえ(6月頃)、植物に飛んでいきます。
アブラムシの好きな色は黄色や黄緑色で柔らかく吸汁しやすい葉の色に反応して飛来します。(キラキラする光は嫌いです。)
アブラムシ無翅型:どんどん増殖します
アブラムシ有翅型:翅があるアブラムシ
○栽培の工夫
無理な早植えや早まきをしないで、適期作業を心がけましょう。条間、株間を広く取り風通しを良くして、ムレを防ぎます。
根こぶ病に強いハクサイやカブ、葉かび病に強いトマトなど、病気に強い品種を選びましょう。
雑草の中で害虫が増殖することがありますので、こまめに除草したり除草シートを利用して省力するのもいいでしょう。
なにより、よく観察して早めに対処することが大切です。
〈寄稿〉
べたがけT:べたがけ栽培レタス
べたがけ栽培ダイコン:秋の霜よけにも使えます
渡辺農事㈱北海道営業所
http//www.watanabenoji.com
E-mail: adachi@watanabenoji.com
FAX: 011・577・3231
2018_05_09 | 2018年 5・6月号 家庭菜園を楽しもう! 連載 | 育てる