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特集記事

2021_11_22 | 11月・12月号 2021年 巻頭記事 | | 編集部イーハトーブ

人口増加に転じる政策を選択して自治体は消失の危機を回避する

道内に実在するある自治体の人口推移を見ると、1960年には約9,200人いた人口も、30年後には約5,000人になり、さらにその30年経った現在は2,200人に激減した。つまり60年間で7,000人減少したことになる。ほかの町村も概ね同じ状況で、手を打たなければどうなるか。
文/山田勝芳

人を増やす政策に徹底的に舵を切る。住民に対する「子育て支援」や「教育費・医療費の無償化」、若者世代の「定住化」、さらに町外からの「移住者」「新規就農者」の受け入れが考えられる。全町民挙げて来訪者にウェルカムの精神で接し、内にも外にも居心地のいい雰囲気づくりに徹する。

 

商店街まで含めたインフラ整備は行政ばかりでなく、住民も店舗側も心掛けなければならない。これらを全部こなすのは末端の市町村の財政だけでは賄えないのは明白で国や道も支援する必要がある。まさにこれこそが地方創生事業だ。

 

地方のコミュニティーが崩壊すれば耕作放棄地が増え、都市の住民たちは十分な食料を入手できなくなる。生産人口の減少した道内各地では耕作地の荒廃が進む。そうなれば、先人が切り拓いた〝北海道の財産〞も水泡に帰す。良くも悪くも、都市(消費地)と農村(生産地)は表裏一体、運命共同体の関係にある。

 

最近では未来型農業としてスマート農業が語られるが、それは人が少なくなった分、徹底的に省力化を進めた農業の一形態に過ぎない。住民が十分に在住し、その上で生産者を農作業から解放する、これこそがスマート農業の真髄だろう。しかし、コロナ禍で閉ざされた生活で人間社会の歯車が狂った。本来、人は互いに交流してこそ社会であり、少数で成立するコミュニティーはあり得ない。どの時代でもコミュニティーが成り立つ地方都市であり続けたい。

 

2021_11_22 | 11月・12月号 2021年 巻頭記事 |