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– GAP認証農場を訪ねて Series14 –
飼料米を配合した餌で育った「千歳産う米豚」おおやファーム株式会社
【イーハトーヴ × ゆめさぽ Collabo‐Campaign】

食の安全は食品に関わるあらゆる産業界に求められる必須条件。農業界でも農畜産物の安全基準ともいうべき「GAP認証」へ向けた動きが活発だ。今回の取材先は千歳市駒里で養豚業を営む「おおやファーム株式会社」(大矢智彰社長)で、JGAP認証のほか農場HACCP認証も取得している。記者は「株式会社ゆめ・きた・さぽーと」の大滝昇社労士(ASIAGAP指導員)と廣田陸奥夫税理士(同)と共に同農場を取材した。

文/山田 勝芳

防疫は繁殖舎と肥育舎の2サイト式でリスク低減

2004年に母豚160頭の体制で「おおやファーム」はスタートした。
それから17年経ち、現在母豚数は800頭、出荷頭数は年間で18000頭という経営規模だ。
豚はとにかく感染症に弱いから、防疫の徹底が養豚の世界の最重要テーマだ。繁殖舎と肥育舎の2サイト方式でリスクの軽減を図っている。現在新しい豚舎の建設中だが、完成時には母豚1400頭まで可能になる。

 

大矢 智彰 社長

 

新しくできる豚舎はコンピュータで管理され、給餌もすべて個体別に数字で記録される。母豚舎はスペイン製機械で、肥育舎はデンマーク製機械で自動制御される。
このように現時点のおおやファームは母豚800頭、年間出荷頭数18000頭だが、これを従業員17名でこなしている。千歳市内14名、近隣からの雇用は3名、すべて日本人だ。このうち新卒者は3名を採用、畜舎が機械化されているとはいえ、少人数でもやれるのは驚きしかない。

 

HACCPとJGAP両方を取得して衛生管理

豚はとにかく病気に弱いから、畜舎の出入りも厳格で特定社員しか出入りできない。そのくらい注意深く衛生管理を徹底しなくてはならない。
2018年12月に「HACCP認証取得」して、2019年4月に「JGAP認証取得」をした。社内的にも衛生面のルールを徹底化し、対外的には食の安全を色濃く打ち出せる。こうして「おおやファーム」は畜産業界での認証取得は数は少ないのだが、ひたすら安全性を希求するため、業界の先頭集団を走っている。

 

 

ホクレンの商標「う米豚」背負う責任 & 遣り甲斐

おおやファームは事業を起こして6年目(2010年)にホクレンと連携して「う米豚」を生産している。特徴は北海道産飼料米を15%飼料に混ぜて与えて肥育した豚。一般の飼料で育てたほうが出荷は1週間ほど早いのだが「赤肉に適度なさしが入る」と好評だ。
養豚は全国どこでも地域のブランド肉がある中、北海道産といえども特徴がないと売れない。その点、「う米豚」は関東圏でも健闘中だ。札幌市内であれば苗穂駅近くにある「アリオ」、ここにおおやファームで生産された「おおやの米豚」がある。

 

 

中央に大矢智彰社長、左に廣田陸奥夫さん、右に大滝昇さん。新しい畜舎はちょうど建設中だった。

2021_05_22 | 2021年 5・6月号 GAP認証農場を訪ねて イーハトーブ 連載 | ,