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特集記事

2022_01_14 | 1・2月号 2022年 特集 | , , , , | 編集部イーハトーブ

道産ナチュラルチーズをもっと毎日の食卓に!

「チーズのことをもっとよく知ってもらい、チーズに親しんでもらいたい」との思いから、チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会が1992年に制定した、11月11日の「チーズの日」にちなみ、北海道牛乳普及協会とホクレン農業協同組合連合会の主催で、今年も「道産ナチュラルチーズセミナー2021」が11月3日に札幌グランドホテルで開催され、酪農王国・北海道で発展を遂げ、今や世界的評価も高い道産ナチュラルチーズの魅力が高校生、生産者、料理人によって語られた。

 

高校生が地元特産品を使い新たな食文化を発信

セミナー第一部は、優れた国産ナチュラルチーズを表彰する「ジャパン・チーズアワード」で数々の受賞歴を持つ岩見沢農業高等学校食品科学科の牛乳・乳製品製造専攻班の3年生3人による学校での活動やチーズの研究に関する発表が行われた。今年のテーマは「空知ワインを使った製品を身近なものに」と題し、同校が製造している乳製品で広がるワインの可能性についての取り組みが報告された。近年、空知地区では良質なぶどう栽培が行われ、ワイナリーも数多く設立されるなど、ワインの生産地としても全国的に知名度が高まっている。そこで同校では、空知の新たな特産品・食文化として、空知ワインを活用したナチュラルチーズの商品開発に取り組んでおり、最近ではワイン入り飲むヨーグルトも開発中という。

 

岩見沢農業高校生徒による研究発表の様子

 

さらに同校の取り組みは、乳製品の開発や研究発表、コンテストへの出品にとどまらず、地域との連携を深めながら、さまざまなネットワークを構築し、空知産農産物のPRにも力を入れ、新聞やテレビのほか、FacebookやYouTubeチャンネルを開設するなど、自らも情報発信を行う。「地域の文化の創造と継承についてこれからも取り組み、空知から全道、全国へ、地域資源を活用した文化の発信をしていきたい」と、地域の若き担い手としての心強い発言に、会場からは大きな拍手が送られた。

 

現代社会の健康維持に乳発酵食は必要不可欠

第二部は、酪農家工房の先駆けとして道産ナチュラルチーズの発展期を支えてきた一人、共働学舎新得農場代表の宮嶋望氏による「乳発酵のもたらす免疫力!」と題した講演が行われた。宮嶋氏は、日本で初めて生産者としてシュバリエ(チーズ鑑定士)の称号をフランスから授与。2016年にはメートル・フロマージュ(チーズ熟成士最高位)の称号を授与。18年には黄綬褒章を受章。現在も理想のチーズ作りの追求と、日本とフランスを舞台に鑑定士の育成にも情熱を注いでいる。

 

「もっと免疫力を提供できるチーズを作っていきたい」と話す共働学舎新得農場代表の宮嶋望氏

 

講演では、アメリカや新得町での取り組みをはじめ、日本の水質のほとんどがヨーロッパで主体の硬水に対して、微生物の作用しやすい軟水であること。朝日と夕日がしっかりと当たる地形で、牛の餌となる栄養豊富な草の生産力が高いこと。火山国という環境は微生物が多く、それによって発酵が上手くいく条件が数多くそろっていること。中でも北海道の土地柄や地理的条件が乳発酵に有利であること。これらのことを理解したうえで多くの生産者が良質なチーズ作りを行っていることを話してくれた。

また、今回のテーマである発酵食品が持つ免疫力の効果については、現代社会において逃れることのできない鉄と電気という文化が発達した生活様式が、人間の身体が健康であることに対して実はマイナスであるということ。そして、その健康を維持するために必要なものが乳酸発酵食品であるということが、すでにアメリカやヨーロッパでは主張され始めており、例えば、一人当たりのチーズ消費量が世界で第1位のフランスでは、日本の10倍以上のチーズが食され、ヨーロッパでは日々の生活に欠かせない食品であることなど、チーズに関する興味深い話題が提供された。

 

試食として提供された5種類の道産ナチュラルチーズ※バゲットから時計回りに、広内エゾリスの谷チーズ社「コバン」、共働学舎新得農場「レラ・へ・ミンタル」、
ニセコチーズ工房「雪花ドライフルーツ」、岩見沢農業高等学校「フィバスの太陽」

 

家庭で簡単に作れるチーズ料理を提案

その後、道産ナチュラルチーズの試食と、札幌グランドホテル総料理長の伊藤博之氏による、家庭でも簡単に作れるチーズ料理の実演が行われた。
実演では「パンと長葱のスープ モッツァレラと卵添え」「きのこのカルボナーラ」「バスクチーズケーキ」のレシピを紹介。参加者全員による試食会は行えなかったため、代表して第一部で研究発表を行った岩見沢農業高等学校の生徒3人が各メニューを試食。食品科学科の生徒だけあって食レポの的確さは大人顔負け。伊藤総料理長も満足げな笑顔を見せた。
試食料理のレシピは、北海道牛乳普及協会ホームページ(https://www.milk-genki.jp/)のイベントレポート・コーナーで紹介しているので、ぜひ参考に。

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