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特集記事

2022_09_05 | 2022年 9月・10月号 編集長のひとりごと | | 編集部イーハトーブ

【編集長のひとりごと】
大きなマチが小さなマチを呑み込む現実があるから

大きなマチには企業、教育、医療、公共交通が整い、さらに遊ぶ欲求を満たす美術館、音楽ホール、劇場、外食店など都市機能が存分に備わっている。行政は住民サービスの提供だけ考えれば、あとは民間の活動に任せれば、自ずと都市機能は形作られていく。こう決めつけたら、言い過ぎだろうか?

反転、小さなマチは何を求めるにせよ、自ら働きかけなければ願望は成就しない。採算重視の世の中だから企業・教育・医療機関のそれぞれの誘致も難儀する。多目的文化ホールをつくっても、年間の稼働日数はわずかだ。しかし、施設がまったくなければ不便極まりない。結局建設費や維持費でマチの財政を圧迫する。小さなマチは何をやるにせよ、大きな出費が伴う。これは大きなハンディキャップだ。

小さなマチの子どもたちは通学でも、体力的に、経済的に大きな負担が伴う。通学助成を実施しているマチを聞いたことがある。通学に一時間以上も要し、さらに便数も少なく時間ロスも大きければ全寮制の道立高校があってもいいのではないか。もちろん、すべて無償化。全国から生徒を迎え入れる〝越境入学”でもいいのではないか。

札幌はバラエティに富む就職先が無数にある。大学も一極に集中している。「定年後は医療施設の充足されている札幌へ」と決めている地方住民が大勢いる。こうして道内のほぼすべてのマチの出身者が札幌に向かって行ったら小さなマチはどうなるか。機能不全に陥ってしまう。ガラガラになったマチをどう守っていくのか。この広大な国土を誰が保全していくのか。

そこで故郷へ帰還を促す政策を国が主導的にやったらどうか。少々乱暴な中身ではあるが「札幌市民よ、全国の北海道出身者よ、故郷に回帰せよ」と呼びかけてはどうか。年月が経つと市町村間の歪が随所に現れるというものだ。見直す時、是正すべき時はまさに今だ。

2022_09_05 | 2022年 9月・10月号 編集長のひとりごと |