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特集記事

2022_09_05 | 2022年 9月・10月号 ゆめさぽ | , | 編集部イーハトーブ

【ファーマーズドリーム】
新しい働き方 × 農業 「フリーランス農家」 小葉松真理さん

「フリーランス農家」という肩書きを持ち、全国を飛び回る若き女性がいる。全国からオファーは殺到。12月まで既にスケジュールは埋まっている状態だ。家を持たないアドレスホッパーとして、パソコン一台を抱え全国各地の農家を巡る小葉松真理さん。アグレッシブに彼女を突き動かすものとは一体何なのか?

「農業」と出会うまで

小葉松真理さん32歳。帯広生まれ帯広育ち。高校卒業後札幌の専門学校へ進学し、地域に貢献したいと十勝毎日新聞グループの「カチマイ」に就職。地域のイベント企画や運営に携わった。「まちづくり」にも興味があった中、偶然フィード広告で目にした函館の町づくり会社へ転職。空きビルを利用し、コワーキングスペースを作る事業に携わるが、「これは町のためになっているのか」と疑問に。考えた末「地域のためにというのであれば、一次産業だな!」と思いたつ。
ここから、力仕事もしたことがなく、日焼けも嫌っていた若い女性の、0からの農業が始まった。

 

「フリーランス農家」の小葉松真理さん(右)

 

中富良野町「寺坂農園」との出会い

「一次産業だ!」と決意したところ、タイミングよく、函館の知人の紹介で、中富良野町の寺坂農園(自社でダイレクトマーケティングを行いメロンの販売を主に行う農家)で働くこととなった。
住み込みでワンシーズンを過ごし、「食べ物って作れるんだ!」「お金が無いと暮らせないと考えていたけれど、家だって、なんでも作りだすことができる!」など大きな感動を得る。更には「現代社会で人は自然と切り離されて生活をしているが、人間も自然の一部である」と気づきも得た。

 

「フリーランス農家」として活動開始

寺坂農園で大きな感動を得て、「通年を通して農業に関わりたい」と思うようになる。そのためには冬場は道外へ出て行かねばならない。
2019年に自ら肩書きを「フリーランス農家」と命名し活動を始め、半年が経った頃に、マイナビが主催するイベントで講演する機会を得る。またしても思いの強さがチャンスを引き寄せる力になっているのか、そこで偶然茨城のベビーリーフ農家との出会いがあり、これが本州へ繰り出すきっかけとなる。

 

歩みを止めない!

「フリーランス農家」として活動開始から4年。彼女の歩みは止まるところを知らない。
各地で農業に携わりながら、取材を行い、日々その様子や情報を発信している。現在は沖縄のワーケーション企画や、農業の調査事業などにも携わっている。また人材を必要とする農家と、そこで働きたい人を年間で30件ほどマッチングさせた実績もある。今後はこの活動の仕組み化を行いつつ、実際に農作業に従事しながら農家さんと関係性を築いてきたライターとして、情報発信にもっと注力したい。いずれ各農家さんのストーリーをまとめ、本を出版したいとも考えている。
20代の若い頃、何も夢がなかった自分に、夢を語り応援してくれた農家さんへ恩返しがしたい。取材中「私はこの人たち(農家さん)を勝たす!」と熱い思いが溢れた。使命感を持ち、それに突き動かされるかのように、全国を飛び回る彼女の次なる夢は?
巡り歩いた先々に拠点を作って、人々が集う宿を作りたい。「農業」と「都市の若者が作ろうとしているような生活の仕方」を持ち込んで新たな物を作る。また、町や産業という視点から少し離れ、健康や食など「人の生活」にもアプローチしていきたいと語る。
強い思いでチャンスを引き寄せ、瞬く間にそれを形にしてきた彼女ならば、近いうちにこれらの夢を必ず実現させるに違いない。

(船島)

 

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