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特集記事

2022_10_26 | 11・12月号 2022年 編集長のひとりごと 連載 | | 編集部イーハトーブ

【編集長のひとりごと】
予知できたはず 狂乱物価は国の無策!

現在、狂乱物価の真只中、消費者も流通もみんなが困っています。政府は家計経済のレベルをどの辺りで見ているのでしょうか? すべての値段が上がっています。大勢の国民が暮らしにくさを感じています。まだ外国から欲しいモノが入ってきますが、一部不充足(化学肥料)が始まっています。小麦や飼料、食肉や乳製品などの食料品、原油や天然ガスが輸入ゼロになれば日本社会はどうなる?

今回は「食料品価格」、「石油製品価格」について考えたい。それは戦争以前から始まっていたのか、戦争勃発後に顕著に表れた現象か、見極める必要がある。ロシアのウクライナ侵攻以前から明白だった〝事実〟を列記する。第一に「円安が恒常化」、第二に「食料自給率37%と低い」、第三に「エネルギーの海外依存度が高い」。つまり、食料安保もエネルギー安保も希薄な国に私たちは暮らしているという事実です。だから、異常気象や産油国事情、戦争など突発事件にすぐさま影響を受けるのが日本社会です。

 

これら三つの状況でどうだったのか。「円安」で、輸入品が安く買えるという恩恵は皆無、日本人の購買力も著しく低下した。逆に海外からの旅行者にとっては好都合だったはずだが、コロナで入国規制が取られこれもダメ(直近では規制が解かれ、急激に入国が続く)。観光業界はどん底だったが、もう少しの辛抱だ。「金満国・日本」は欲しいものはカネで何でも手に入れられるという昔日の幻影、これは金輪際ない。世界経済の中で「円」はすっかり脇役の存在に成り下がってしまった。賃金はG7で6位、OECDの中でも下位グループのメキシコ、スペイン、チリクラスで、韓国より低いのが現実だ。日本は優位だったのはとうの昔の話、忘れよ。

 

輸入食料品、原油は国内価格の高めが常態化。その上、気候変動(熱波・乾燥、豪雨などの自然災害など)の影響を受けやすい小麦やトウモロコシなど農産物は価格高騰した。輸入食肉類も飼料作物の不作から減産を余儀なくされ、ウクライナ戦争以前からすでに価格は高値安定にあった。

 

ここでロシアが仕掛けた戦争状態に突入した。戦時はすべての歯車が狂う。ロシアに経済制裁措置が取られ、原油・天然ガスの需給バランスが一気に崩れる。海外依存100%の日本は大ダメージだ。ガソリンや小麦、化学肥料の価格が急上昇(ロシア、ウクライナともに輸出国)し憂き目に合う。化学肥料も中国は国内保護を理由に輸出規制をかけた。価格は三倍にも上がり、野菜の値段に跳ね返ってくる。来春の需要期が最大のダメージとなりそう。万事、これに尽きる。「25%の有機肥料を」と国は呼びかけるが後手、後手だ。

 

石油由来のインクや紙、運搬費の高騰で、本紙を刷っている印刷会社まで値上げを要請してくる。何から何までモノの価格に転嫁され、それでも怒らない我がニッポンの国民性とは一体何だろうか。国民の平穏、暮らしやすさを生むのが国政だと思うがいつになったら、それを享受できるのだろうか? わが国会よ、緊急問題の討議する順番もわからないのだろうか? 普通に生活できる政治を国に望みたい。

山田 勝芳

2022_10_26 | 11・12月号 2022年 編集長のひとりごと 連載 |