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特集記事

2023_03_22 | 2023年 3・4月号 北海道の林業・木材産業の今 連載 | , , | 編集部イーハトーブ

北海道の林業・木材産業の今①
空知管内の林業・木材産業

北海道の森林面積は554万㌶あり、総面積の71%を森林が占めています。日本全体でみれば22%を占め、全国で一番の森林面積を誇り、林業・木材産業がマチの基幹産業として発展してきました。それぞれの管内でどのような特徴があるのか。またどのような企業ががんばっているのか。1回目は空知管内の林業・木材産業を特集します。北海道空知総合振興局林務課の竹田俊治さんに管内の特徴を聞き、代表する企業を紹介します。

森林の現状

– 管内の林業・木材産業の特徴を教えてください。

竹田 管内の森林面積は約37万㌶で、管内総面積の約64%を占めており、全道の森林面積の約7%です。
内訳は国有林が54%、道有林が17%、一般民有林が29%となっています。
当管内は、上川、十勝、オホーツク管内のような大規模森林地帯ではありませんが、札幌圏や上川管内に近いので、材の入手や製品の流通には絶好の位置にあります。
管内には、北空知、そらち、なかそらち、南空知の4つの森林組合(地域の森林所有者が組合員となって林業経営を効率よく進めるための団体)があり、地域の森林で、植林や下草刈り、除・間伐などの山づくりや木材の生産・販売などの事業を実施しています。
また、木材関連の加工施設は製材、チップ、合単板、フローリングなど様々な工場がありますが、加工工場が全道的に減少しているなか、管内においても30年前に104あった工場が現在は22工場となっています。

 

北海道空知総合振興局 産業新興部林務課 竹田 俊治 主査

 

林業や木材産業従事者の現状

– 林業や木材産業の従事者の現状を教えてください。

竹田 管内の林業従事者数は、令和元年の調査で241名、60歳以上の高齢者の割合が約32%と高齢化率が高い状況で、若年層の新規就業が課題となっており、担い手の確保に向け、林業関係の仕事の紹介等、普及・PR活動を行っています。
管内には岩見沢農業高校の森林科学科があることから連携を強め、セミナーを開いたり、管内の企業を紹介したり、実習のサポートを行うなど、管内の企業に就職してくれる学生が増えるよう取り組んでいます。
また、2020年4月に旭川市に開校した北の森づくり専門学院との連携支援にも取り組んでおり、インターンシップや実習について地域を挙げてサポートしたり、情報発信などを行っています。

また、高性能林業機械やドローンなど、ICTを活用したスマート林業による省力化や効率的なシステム作りにも取り組んでいます。

 

高性能林業機械による造材

 

今後の課題と展望

– これからの課題と展望を教えてください

竹田 道内の木材産業を取り巻く環境は、戦後植林した人工林が成長し、利用期を迎えてきている一方、輸入材の増加や住宅需要の低迷により道産建築材の利用が減少するなど、厳しい状況となっており、管内においても同じような状況となっていました。
北海道では建築分野での新たな需要の創出や木質バイオマスのエネルギー利用などにより、地域で生産された木材・木製品の利用拡大に取り組んでいます。当管内でも原木を安定的に供給するための高性能林業機械などの導入、地域材を使用した木造公共施設の整備、公共施設等への熱供給のための木質バイオマスボイラーの整備などが行われてきました。
そのような中、コロナウイルス感染症の拡大による経済活動の停滞などにより、道内の木材産業においても極端な需要の減少等大きなダメージをうけることになりました。

 

カラマツ人工林

 

管内の木材産業においても、素材生産や、木材加工量が極端に減少するなど、大きな影響が出ていましたが、令和3年3月頃より輸入木材製品の品薄状態とそれに伴う価格の高騰(いわゆるウッドショック)により、道産木材に注目が集まるようになったことから、管内の木材加工工場における生産活動も落ち着きをを取り戻しています。
現在、一時の過剰な需要は落ち着いてきていますが、今後も道産材の使用が増えるよう、道産木材製品の普及・PRを進めていきたいと思っています。

– 今日はお忙しい中ありがとうございました。

 

●北海道空知総合振興局 産業振興部林務課

TEL:0126・20・0070(内線2501)

 

 

2023_03_22 | 2023年 3・4月号 北海道の林業・木材産業の今 連載 | , ,