食の安全は食品に関わるあらゆる産業界に求められる必須条件。農業界でも農畜産物の安全基準ともいうべき「GAP認証」へ向けた動きは活発だ。今回の取材先は米(籾・玄米・精米)でJGAP認証を取得した株式会社巴農場(細川雄矢代表取締役)。記者は「株式会社ゆめ・きた・さぽーと」の大滝昇社労士(ASIAGAP指導員)と廣田陸奥夫税理士(同)とともに農場のある江別市豊幌を訪ねた。
文/山田勝芳
石狩川と旧石狩川の中州が巴農場
江別市巴農場は石狩川と旧石狩川(三日月湖)の間にできた中州地域のことをいう。巴農場の土質は石狩川が育んだ堆積土壌で、粘土質と砂質がバランスよく混じり合う肥沃な土壌だ。これは一般に「米どころ」と呼ばれる地域と同じ種類のもので、昔から「巴農場の米はうまい」と評判だった。現在、同地域では1法人(巴農場)、2個人が生産活動中だ。
2007年5月、農業経営の効率化と経営面積の拡大を目指し、地域農家3戸で法人「株式会社巴農場」を設立した。スタート時は32 haだったが 現在では倍以上の経営規模となっている。常勤は役員3名と社員5名だが、繁忙期にはなじみの臨時職員をはじめ、ヘルパー募集等で人員を確保している。
写真中央は岡村喬士取締役総務部長、入社してちょうど10年目と語っていた。右に大滝昇社労士、左に廣田陸奥夫税理士。田んぼの奥には石狩川の堤防が見える。
2014年には法人の更なる発展を目指して就業規則を策定した。2018年には「良い会社、良い環境、良い経営」を目指して経営理念を明文化した。そして、野菜ソムリエPro.の中橋賢一さんらの強力な後押しを受け、2021年2月にJGAP認証を取得した。
稲作(ゆめぴりか・ななつぼし・もち米・酒造米彗星)を中心にムギ、大豆、スイートコーン、ブロッコリーなど。
特に米は、江別市のふるさと納税の返礼品にもなっている。ネット通販でもJGAP認証農場産のゆめぴりかのほか、農場産野菜を販売している。
JGAPの認証証明書
米米ぬか籾殻堆肥の使用で化学肥料の減量化へ
米は注文を受けてから精米して配達される。精米施設から年間で20t余りの米ぬかと籾殻が出て、これを堆肥化し化学肥料の減量化につなげている。農場の土質と好相性で美味しい野菜が生産できる。社会貢献として食育活動にも積極的だ。
袋に「JGAP認証農場」とプリントされたゆめぴりか
2023_09_13 | 2023年 9・10月号 GAP認証農場を訪ねて ゆめさぽ イーハトーブ 連載 | GAP認証, 米, 農場, 農業, 食育