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特集記事

2024_01_30 | 1・2月号 2024年 イベント 特集 | , , , | 編集部イーハトーブ

道産ナチュラルチーズをもっと毎日の食卓に!

「道産チーズの魅力を知ってもらい、家庭の料理のメニューとしてのチーズをもっと活用してもらいたい」と、1992年に制定された11月11日の「チーズの日」にちなみ、北海道牛乳普及協会とホクレン農業協同組合連合会の主催による「道産ナチュラルチーズセミナー2023」が今年も11月3日に札幌グランドホテルで開催された。

地域の特産品を活用した次代を担う高校生の挑戦

セミナー第一部は岩見沢農業高等学校食品科学科の牛乳・乳製品製造専攻班の3年生3人から、2023年度の活動テーマ「空知ワインを使った製品を身近なものに~世界に羽ばたく空知ワインと乳製品の可能性~」に関する研究発表が行われた。

同校では地元・空知地方で栽培されている良質なブドウを生かし、今や生産地として知名度が高まっているワインを地域の特産品・新たな食文化として広めていきたいとの思いから、空知ワインを活用したナチュラルチーズの研究・開発や、広く地域との連携を深めながら幅広いネットワークを構築しながら、空知産の地域資源を活用した製品を道内から全国へ、さらには世界進出に向け挑戦し続けている。

 

岩見沢農業高校生徒による研究発表の様子

 

主催者を代表して開会のあいさつをするホクレン農業協同組合連合会代表理事副会長でもある徳田善一北海道牛乳普及協会会長

 

今年の主な活動として、1月には「ミルク&ナチュラルチーズフェア2023」に参加し、ステージ発表や同校で製造する4種類のチーズの販売も実施。10月には21年のALL・JAPANナチュラルチーズコンテストで優秀賞を受賞した「フィバスの瞳」をノルウェーで行われたワールドチーズアワードに日本代表として3度目、2年連続の出品を果たす。また製品開発では、3年前から進めてきたワイン入り飲むヨーグルトの製品化に成功。23年度は空知ワインの活用の可能性を広げるためフローズンヨーグルトの開発や、地元洋菓子店の協力を得ながら、これまで廃棄処分となっていた同校生産の野菜や加工品を活用した惣菜パンの製品化を実現。世界的に注目されているSDGs(持続可能な開発目標)に着目した活動にも積極的に取り組んでいる。発表を終えた学生たちからは「これまでの活動を次の世代にしっかりと引き継ぎ、自分たちが作ったチーズ・乳製品を使って地域を盛り上げ、さらに全国、世界へと発信していきたい」と、地域を支える次代の担い手としての思いを語ってくれた。

 

地形と水質に適したチーズ作りで世界に挑戦

第二部は共働学舎新得農場代表の宮嶋望氏による「日本の土壌に適した酪農とは・・・」と題した講演が行われた。宮嶋氏は酪農家工房の先駆けとして知られ、日本で初めて生産者としてシュバリエ(チーズ鑑定士)の称号をフランスから授与。2016年にはメートル・フロマージュ(チーズ熟成士最高位)の称号も授与。現在も全国各地でチーズ文化の理解と醸成活動に取り組んでいる。
講演では共働学舎が目指しているチーズの価値は一にも二にも品質=おいしさであり、そのために必要な条件に付いて解説。朝日と夕日がしっかりと当たる地形。朝・昼・夕・夜という温度差に違いがあること。温度帯にあった環境微生物や動植物が最も豊富な環境で、牛の餌となる栄養豊富な草の生産力が高く、牛が丈夫で健康に育つとともに、チーズの発酵に適した土壌微生物が多く存在する火山灰地という環境など、チーズ作りに最適な条件が北海道、特に十勝にそろっていること。また日本の水質のほとんどがヨーロッパでは主体の硬水に対して、微生物の作用しやすい軟水であること。さらにその上で、牛の飼育環境や、搾乳室からチーズ工場までの距離や位置関係、建築資材には鉄ではなく木や石などの自然素材を使い、さらに生命にとって良いエネルギーが流れる環境を作る炭に注目し、全ての施設の下に多くの炭を埋めるなど、牛を飼う環境づくりに徹底してこだわることによって、健康な牛の育成、良質な乳、おいしいチーズが作られること。あわせてチーズには免疫力を高める成分が入っており、病気に強い体質を作るためにもチーズを食べた方が良いということ。これらのことから、私たちが普段食べているナチュラルチーズは、自然の恩恵や科学の力をふんだんに使いながら私たちの手元に届いているということを知ってほしいといったメッセージで締めくくられた。

 

「病気に強い体質を作るためにもチーズをもっと食べてほしい」と話す共働学舎新得農場代表の宮嶋望氏

 

市販のチーズで簡単に作れる料理を提案

その後、札幌グランドホテル総料理長の伊藤博之氏による市販のナチュラルチーズを使った料理の実演と試食が行われた。実演メニューは「オニオングラタンスープ ブルーチーズの香り」「秋鮭のソテー アリゴ添え」。デザートに「いちごのベイクドチーズケーキ」も添えられた。試食料理のレシピは北海道牛乳普及協会ホームページ(https://
www.milk-genki.jp/)のイベントレポートで紹介しているので、お試しあれ。

 

プロによる料理実演に参加者も真剣に聞き入っていた

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