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特集記事

2024_01_31 | 1・2月号 2024年 北海道の林業・木材産業の今 連載 | , , | 編集部イーハトーブ

北海道の林業・木材産業の今④
後志管内の林業・木材産業

北海道の森林面積は554万㌶あり、総面積の71%を森林が占めています。日本全体でみれば22%を占め、全国で一番の森林面積を誇り、林業・木材産業がマチの基幹産業として発展してきました。今回は後志管内の林業・木材産業を特集します。北海道後志総合振興局林務課の浅田勝美さんに管内の特徴を聞き、代表する企業や団体を紹介します。

管内の森林の現状

―管内の森林・木材産業の現状を教えてください。

浅田 管内の森林面積は約33万ヘクタールで、管内総面積の約77%を占めており、全道の森林面積の約6%です。

内訳は国有林が48.8%、道有林が10.8%、一般民有林が40.4%となっています。管内の一般民有林を林種別・樹種別にみると、天然林はナラ、カバ、カエデ、ブナ(自生地の北限は黒松内町)などの広葉樹が多く、人工林はカラマツ、トドマツなどの針葉樹が多くなっています。天然林の割合が高く、人工林率は約2割となっています。これらの森林は公共造林事業で整備されているほか、市町村においては森林環境譲与税を活用して整備を進めています。
管内には南しりべし、ようていの2つの森林組合があり、それぞれの地域の森林で植林、下草刈り、除間伐などの山づくりや木材の生産販売などの事業を実施しています。また、製材・木材チップ、集成材など加工工場が7社となっています。カラマツを主体とした資源が成熟期にあり一層の利用促進が求められている中、公共施設などに木質バイオマスボイラーを導入し、エネルギーの地産地消を進める取り組みが拡大しているほか、地域材の利用促進に向けた取り組みも進めています。

 

北海道後志総合振興局産業振興部林務課 浅田 勝美 さん

 

林業や木材産業従事者の現状

―管内の林業・木材産業の従事者の現状を教えてください。

浅田 管内の常用林業従事者は、令和3年度の調査で182名、60歳以上の高齢者の割合が25%と高齢者の割合が高い状況で、若年層の新規就業が課題となっています。
「後志地域林業担い手確保推進協議会」では、担い手の確保に向け、地域の高校生を対象とした林業体験イベントを開催しているとともに、北の森づくり専門学院(北森カレッジ)との連携支援にも取り組んでおり、インターンシップや見学実習について地域を挙げてサポートしています。

北森カレッジの開院は、本当に大きな希望となっています。他の府県であれば毎年20人ほどの卒業生ですが、ここでは40人ほどになります。毎年その人たちが、道内の団体や企業で働いていただける。年数が経つに従い、その存在の重みは増していくはずです。

また、協議会では、令和3年度に「しりべしの林業」「後志地域の魅力―しりべし時間 しりべし暮らしー」という二つの動画を作成し、幅広い層に後志地域で「仕事する」「暮らす」「余暇を過ごす」イメージを持ってもらい、後志地域の移住者層や担い手確保につながるよう、ユーチューブに公開しています。

 

地材地消の取り組みも積極的に

―地材地消の具体的な取り組みを教えてください。

浅田 振興局の独自事業として、「後志産木材活用促進事業」に取り組んでおり、管内の地域材利用の拡大を図るとともに、ゼロカーボン北海道を推進するため、リゾート開発会社などに対して、積極的な地域材利用を促進しています。

主な取り組みとして、後志産地域材で提供できる建築物などを掲載した部材カタログの作成を行うとともに、各市町村建築担当者・木材関連業者やリゾート関係会社などを対象とした地域材利用に関する意見・情報交換会を開催しました。

また、全道屈指の強度を持つ「ようていカラマツ」の特徴、地域材を利用した施設の施工例などを掲載したパンフレットを作成するほか、各種イベント会場におけるパネル展示など、ゼロカーボン北海道の推進及び地域材利用促進に向けた普及・PR活動を実施しています。

 

道民の理解と参加の促進に向けて

―森林を守り、木材産業を育て維持していくためには、やはり道民の理解と参加が必要と思います。その取り組みを教えてください。

浅田 道民の皆様に森林づくりを理解してもらうために、昔から植樹祭や育樹祭を行ってきました。しかし、コロナ禍により一時期、それらのイベントは中止を余儀なくされました。令和5年になり5月には厚真町で北海道植樹祭が開催され、多くの来場者を迎え、コロナ禍前に戻りつつあると感じています。

企業サイドでも、自ら森林の環境保全に貢献しているということをアピールすることがトレンドになっています。私の部署にも企業の方からそのような相談が増えていますね。

管内の大きな特殊性を上げるとすれば、特にニセコ地区は世界的なリゾート地であるということです。だから、森林の開発が非常に多い。森林の保全と開発のバランスをどのようにとっていくのか。法律に基づいてきちんと注視していかなければなりません。

―今日はお忙しい中ありがとうございました。

 

よいていカラマツ材を使用したニセコ蒸溜所貯蔵庫

 

●北海道後志総合振興局産業振興部林務課

TEL:0136・23・1381

 

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