写真甲子園ですっかり有名になった東川町には人を呼び込む魅力があふれている。移住者や海外からの留学生がやって来て、小さな町といえども国際色豊かだ。少子化で部活もままならない時代だが、今度は「東川国際クロスカントリースキークラブ」を設立、冬スポーツの復活に立ち上がった。
文/山田勝芳
若者が溢れる街・東川町
若者が集うまち、東川町にはそんな雰囲気がある。写真甲子園の開催時には町中に全国各地の高校からやって来た高校生が溢れ、青春の一時を東川町で謳歌する。
さらに、類は友を呼ぶかのように全国から若者移住者が移り住み、ある者は会社を興し、またある者は営業店舗を開いて街の賑わいづくりに一役買っている。
また、日本語を教える町立学校や、東川国際文化福祉専門学校の日本語学科があり、合わせて350名ほどが町内で日本語を学ぶ。ほかの学科で学ぶ外国人留学生もいるから当然、街を歩くと国際色豊かな若者たちと遭遇する機会が多い。東川町民もごく普通に彼らと接しており、ホスピタリティに富む町民性の表れだろう。
そんな躍動感溢れる東川町だが、少子化の波に呑まれて、部活の休止でスキー競技を続けられない生徒たちの話題が各地から伝わってくるなか、今度はクロスカントリ―スキーのメッカ東川町は立ち上がった。
クロカンの輪を広げたい
かつて北海道はスキー競技のメッカで、冬季五輪や大きな大会に大勢の競技者を出してきた。各地のスキー場もどこもかしこも大賑わいだったが 現在はどう変化したか。
週休2日制導入で、学課学習が十分とれず、そのあおりを受けたのがスキー学習で、これが全面カットされた。スキー人口の減少に拍車がかかり今では外国人スキーヤーがスキー場を席巻する。
少子化の進展が追い打ちをかけ、中高や大学のスキー部も縮小や休部・廃部に追い込まれたり、競技を続けたい生徒や学生たちもやむを得ず諦めざるを得ないケースもある。この一旦休止せざるを得ない競技者に支援の手を差し出したのが東川町だ。
専門学校内に事務局を置き、「東川国際クロスカントリースキークラブ」を昨年12月に設立した。
東川町にある大雪山旭岳はクロスカントリースキーのメッカ、シーズンはどこよりも早くに始まり(11月)それを待っていたかのように全国の大学のスキー部の合宿が始まる。また、旭岳は全国で一番遅くまでスキーの滑走ができる(5月)、夏スキーができることでも知られている。このように、競技期間も長く、コースも整備が行き届いていることで「クロカンの聖地」として競技関係者から高く評価されているところだけに、この度のクラブの設立は大歓迎のはず。日本のクロスカントリースキー競技人口の減少に歯止めがかかるものと期待される。半年以上の雪上トレーニングが可能なわけで、そこに体系的な指導プログラムを組めば、自ずと結果はついてくる。少なくとも国内大会の優勝者はでるものと期待される。
少子化で部員が集まらず、部活は休部に追い込まれる。競技をあきらめかけていたところに「東川国際クロスカントリ―スキークラブ」が設立され「東川国際文化福祉専門学校」の部活と同格の〝クロカン部〟の創設はまさに渡りに船となる。
では、コーチ陣はどうか。 コーチは石川英樹、旭川大高スキー部で25年間の指導歴がある。SAJクロカン委員長、SAJ・Jrコーチ、JOCスポーツコーチを歴任した。
石川コーチの指導を受けたOB、OGの中には世界選手権、W杯、世界Jr選手権、ユニバーシアード、ユースオリンピックで複数名の入賞者を輩出させた経歴を有する。立地、コーチスタッフとも申し分ない陣容といえる。 入会金10,000円(中学生以下及び東川町民は免除)、年会費はアスリート会員(年30回講習)10,000円、ビギナー・Jr会員(年6回講習)2,000円とハードルを低く抑えている。いかにも東川町らしい決め方だ。

東川国際クロスカントリースキークラブ 石川秀樹コーチ
類なき万全の支援体制
特筆すべきは万全のバックアップ体制にある。東川国際文化福祉専門学校の中に「クロカンクラブ」を創設、生徒たちの家庭負担を減らすべく補助、助成が考えられているから凄い。
遠征費・WAX費の補助、学費免除や特待生制度や遠方からの学生には寮費補助制度で支援する。このようなバックアップはまさに東川町方式ともいうべきもの。
東川高校スキー部と地域連携を行い、高校から専門学校へ進学した場合、2年間学費免除するなど競技続行をバックアップする。こうした5年間という長期戦略でしっかりとした強化育成が可能になる。
競技を続ければ、少なからず家計を圧迫する。物価高騰で競技をあきらめた生徒、学生もたくさんいるが、東川町でなら夢をつなげる、夢を実現する可能性も出てきた。
東川国際文化福祉専門学校は町と一体となった連携も図られており、選手の養成ばかりでなく、年齢にこだわらずすべての世代に呼び掛け、交流を深め、町全体の活性化にも貢献できると考えている。

クロスカントリースキーの聖地「旭岳」 旭岳はどこよりも早くシーズンイン(11月)して、どこよりも遅くまで(5月)滑走できるスキー場で有名だ。
人も企業も東川に来る
筆者は毎年数度、東川町を訪ねる。そして、行くたびに真新しい事案が町内で始まり、関係機関のスタッフもさぞかし新事案が出て忙しかろうと思わずにいられない。
ところが町役場も、専門学校も、応対する職員たちは溌剌と業務に打ち込んでいる姿をたびたび目にする。このやる気の差が自治体の〝差〟として現れるのだろう。街かどの活気の〝差〟にも表れてくるのだろう。
全国の若者が東川町でリスタートする連鎖は、まさにその表れだろう。道の駅ひがしかわ「道草館」の蒸しパンは、ファミリーでやって来た移住者の立ち上げた蒸しパン工房「sitoa」(しとあ)の商品だ。大雪の地下水の旨さに引き寄せられて深川から東川町にやって来た珈琲工房。同じく水と米に惚れてやってきた酒造会社「三千櫻酒造」(みちざくら)は本社まるごと移転して東川町にやって来た。
一連のクロスカントリースキーも好適地として全国から競技者が動き出したら、東川町で物凄いドラマが始まるかもしれない。初夢が正夢になったら想像以上のものになる。一つでも正夢に近づけたらそれは前進だ。
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