IHATOV|イーハトーヴWEB北海道|北海道のフリーペーパー

IHATOV|イーハトーヴWEB北海道|北海道のフリーペーパー
  • 紙面版を見る

特集記事

2025_09_04 | 11・12月号 2025年 イーハトーブ 特集 | , , , , | 編集部イーハトーブ

アーカイブ イーハトーヴ25年
イーハトーヴを愛するすべての人に 25年経っても冷めやらぬ熱き思いを
これからも伝え続けていきたいー。

9・10月号で紹介済みからの続きを載せるつもりが一号、一号が重くてなかなか前に行けない。どの原稿も入魂の一篇なので目をつぶって飛ばすこともできず、長期キャンペーンを覚悟しなければならない。

編集長 山田 勝芳

消費者と生産者の 架け橋になりたい

10年 7 ・ 8 月 号

この10年間の食に関わる様々な事件や地球温暖化による気候変動を通して、食と農を取り巻く価値観は大きく変わった。今を解くキーワードは「安全・安心」「環境」。消費者にも生産者にも、製造業者にも流通業者にも共通して求められるキーワードだ。

本来はずっと以前から人間社会に求められていたことだが、性善説的発想から相互信頼のもとで成り立ってきた。それが利益追求のため揺らいできた昨今、改めて「安全・安心」が強く求められるようになった。

作る側(生産者やメーカー)や売る側に順法精神(コンプライアンス)や倫理観を強く求めるのだから、私たち消費者も正しい商品知識や考え方を持って「選択」をしなければならない。また、値段の安さを求めすぎると、どこかでその分を負担しなければならない。悪循環が生まれ、最後には消費者に跳ね返ってくる。だからスーパーの値下げ競争は悪循環になる予兆といえる。

要点を抜粋気味にまとめたが、15年前と今を比較すれば人の世はよき消費行動、よき商習慣があまり育っていないことを思い知らされる。

 

人口減少時代、北海道は 人口増の可能性もある

10年9・10月号

四半世紀後(2035年)、道内人口は「420万人」というショッキングな予測が出ている。現在の人口は560万人だから140万人減少だ。こうなると、経済活動も縮小し、道民生活の全般に影響が出ることは必至だ。私たちは生活感、社会観を変える必要がある。

人口増の政策を総動員がして北海道経済、道民生活への影響を回避しなければならない。次世代のためも知恵を絞って今を生きる私たちの世代は危機を回避する責任がある。北海道は発展の可能性を潜めながらもどの分野も上り詰めていない分、手の打ちようがある。今度は遣りようによっては上乗せが可能ではないか。

(中略)団塊世代の一斉退社を見込んで推進する「第二の人生を北海道で」では後ろ向きだ。就労できる世代を引き込む政策こそ、北海道の未来が切り拓かれる。

 

農業は自動車と違い 海外移転はできません

10年11・12月号

円高が止まらない。自動車業界はコスト低減を求め、輸出用車種の海外移転を加速させる。日本は今、産業の空洞化が懸念されている。でも日本の農業は海外移転できない。国民の食を守るため、それぞれの農地に土着し生産に励んでいる。

かねがね他産業から日本の農業界に対し「コスト削減」や「補助金に頼らない経営」を求めてきた。生産者も自助努力で出来るコスト削減に限界まで取り組んでいるが、自助努力にも限界がある。

農作業に使われる農機、肥料、農業資材はすべて国内で製造された価格の高い生産資材だ。農業界にコスト削減を求める工業会は国内製造では労働者の賃金も高く、高コストになるから労働市場も安上がりで済む海外に製造拠点を移転する。

日本で「高い農業資材」を使って農業をするには当然、生産コストは高くなる。実需者に売る価格と生産コストの差額が補助金として支払われる日本型農業の仕組みがある。そこを国民が理解しないと日本では農業は要らないということになる。農業を支える、農業を壊すのは日本国民の選択だ。筆者は食糧安保の視点に立ち、国内農業をしっかり支える側に立つ。

 

農畜産物の輸入関税を ゼロにすれば農業は崩壊

2011年1・2月

環太平洋経済連携協定(TPP)の参加をめぐって、議論が巻き起こっている。政府や中央の経済団体、連合(労働団体)の大勢は参加容認だが、北海道ではオール北海道でTPPに反対している。なぜならば、基幹産業である農業が壊れれば、経済は立ちいかなくなるからだ。

本紙の前号で「日本の農業は自動車と違い海外移転できない」の記事を読んだ読者から賛同する意見が多く寄せられた。農業の将来を多くの道民が危惧していることは文面から伝わってくる。

農業者と製造業者の根本的な違いは土地への拘りだろう。灌漑や土づくりを施した、代々伝わる農地に殊更な愛着を持つ農業者と、建物を建てる十分な土地があればよし、さらに安い労働市場の海外ならさらによしの製造業とはここが根本的な違いといえる。だから、自動車産業界は国際競争に勝てる価格を出せるが、農業は狭い日本で生産する分、労働賃金も生産資材もどうしても生産コストが高くつく。農業を守るのなら、ここをまず国民は理解しなくてはならない。

もう一つの論点として「国際競争力のある農業」を求めるが、日本農業とアメリカやオーストラリアの農業と比較すること自体が間違いだ。日本はオーストラリアの100分の1の経営規模だ。最初から競争にならないことは自明の理。

スーパーに並ぶ食品群のうち生鮮類は国産物が多く並ぶが、それでも目立つ外国産フルーツ類。加工品ならもっと国産原料使用の商品を探すことは難しい。数点あるくらいでほとんどの商品は輸入原材料が使われている。生鮮野菜含めて目に入らなくなった時、日本の農業は消滅したことを意味する。国民の多くは「それでもいい」とは思わないはず。農業の危機はそこまで来ているといっていい。

この後の文は現在の立ち位置で書き込んでいく。 TPPに参加した日本は広報されないが、年毎に関税は低減されるルールになっている。徐々に影響が現れるはず。自給率向上は簡単なテーマではない。商品の「選択権」がある消費者の行動で決まる。

家畜飼料の国産化を計画はしたが、外圧(今回の日米交渉もそう)で簡単に穀物(飼料)の輸入量が大幅に拡大される。一方国内でも、飼料米栽培は中止されそこに主食米に植え替えられる現実がある。飼料国産化は遠のいていく。

TPPと自国農業は日本人にとっていい教材になっている。記事を書いた2011年は円高で値下げ競争が激化したデフレ真只中、一方現在は円安で値上げラッシュのインフレだ。貿易は為替変動にすぐ影響される。「円安続きで商品が安くならない」と嘆く消費者がいる。

先進国の中でも低迷する日本経済を立て直そうと、政府(日銀も)は経済低迷はデフレにあるとの判断でゼロ金利を止め物価上昇路線を選択したが急激に路線変更したから高物価に家計の収支バランスが崩れ、国民は辟易している。主食の米さえコントロールできない事態に至った。この状況の一切を国民は目を見開いてよく見ておくべき。何が演じられているのか見るべき。文章が長くなったのでここで終える。

 

札幌人エレジー あなたの田舎は元気です

2011年3・4月

札幌市は全道各地、全国各地からの出身者で溢れる街だ。病院も学校も働く場も、そして文化・娯楽などあらゆる都市機能を備えた北海道随一の大消費地だ。少子高齢化・人口減少社会にあって、札幌市だけは今後も人口が一極集中することが予想される。だからこそ私たちの生まれた故郷を思いやる気持ちだけはこれからも持ち続けていきたい。

日本の食料自給率は40%だが、北海道は約200%。ここに北海道は日本の食料基地といわれる所以がある。そのうち札幌市の食料自給率は約2%で道内179市町村中175番目。ついでば176位は苫小牧市、177位は室蘭市、178位は歌志内市、179位は上砂川町と続く。苫小牧市、室蘭市は工業集積とし、歌志内市、上砂川町は旧産炭地。

そして、札幌市は極端に第3次産業が発達した消費都市だ。食料品のほぼ100%を他地域に依存していることを物語る。国に見立てれば、国民の命を維持する食料品の100%を他国に委ねることだ。危うい国と言わざるを得ない。

さまざまな食材を生む生産地が衰えれば当然、札幌市民の消費生活は影響を受けることになる。現在のように穏やかな地方衰退であれば日々の暮らしで変化は感じられないが、TPPの進展で徐々に変化を目の当たりにするはず。そうならないように都市が地方(生産地)を守る(育む)行動をしなければならない。医療機関と同様に農業は都市住民の命を守る生命産業といっていい。

札幌の多くは地方出身者が溢れている。自分の出身地のこと、忘れていませんか?

ここから加筆する。市民は税金を払い、行政は市民にサービスを提供する。同じような重さで市民の出身地まで思いが至ればこんな素晴らしい行政はない。つまり、地方の疲弊を共有する札幌市で在り、札幌人でありたい。札幌と地方は盛衰一体の運命共同体だ。

 

風評に惑わされない これも復興へ向けた道

2011年5・6月

前号が発行された直後、東日本大震災に見舞われ東北太平洋岸では甚大な被害が出た。これを受け「5・6月号」「7・8月号」「9・10月号」の3号でガンバレの記事を連載した(写真)。連帯の気持ちを込めた記事であったと自負するが、実際被災地の直接な「ため」にはならず随分歯がゆい思いをした。気まぐれと感じたものだ。

原発事故の影響で被災地の農産物は風評被害を受け、店頭で大苦戦。マスコミの報道に惑わされない情報との接し方を書いた。しかし、書いても被災地や隣接地の農産物はなかなか手に取ってもらえず、風評被害は大きかった。災害被害のほか風評被害も加わり、第1次産業の弱さをつぶさに見せつけられた。  東北にあった自動車工場など製造業は土地から逃げていった。筆者が頻繁に使う「土地を持って逃げられない農業」をいみじくもこの場面で演じられていた。海水で水浸しの農地も、原発事故で汚染された農地も、除染され復活して農地もたくさんある。

本紙のイーハトーヴは宮沢賢治による造語を使わせてもらっている。賢治は花巻に住んでいたがこの辺りを自然と人が共生できる理想郷・イーハトーヴの里にしたいと考えていた。人の営みの中で農業が一番自然と共生できる暮らし方と考えていた。

奇遇だが、これまでも何度か紙面に書いてきたが誕生年も没年も東北地方の太平洋岸では大地震が起き、津波で甚大な被害を引き起こしている。この新聞イーハトーヴを見るたびに、地震災害を意識するようになればうれしい限りだ。

少しばかり脱線するが筆者は福島県人の強さに感服する。それは歴史的経緯(新政府軍に徹底的に粉砕された戊辰戦争)もあるが逆境にめげず、歴史も引き吊りつつも精神的な逞しさを感じる。 戊辰戦争後、北海道へ追いやられた福島県(旧会津藩)人は多い。当時の北海道は本土から余された者たちの大地だった(廃藩後の不平武士は屯田兵に、農家の2男・3男は開拓民に、反政府の反乱者は道内4か所集治監に収容され強制労役に従事)。

今の北海道人に必要なのは「なにくそ」と思う反骨心と、底から這いあがる逞しさ。いい・悪い、好き・嫌いではなく歴史をしっかり抱えて継承していく精神的強さが欲しい。

今月号の最後に本紙9・10月号(写真)に載せた福島在住の詩人・和合亮一さんの詩「決意」を載せたい。

 

2025_09_04 | 11・12月号 2025年 イーハトーブ 特集 | , , , ,