道内に80ある森林組合を束ねる北海道森林組合連合会(道森連)。道森連では、道内の“森林づくり”をより多くの道民が理解し、深めてもらおうと、地域で取り組む「木育」を含めた森林環境教育などの活動を支援しています。
「木育」のめざすもの
「木育」とは、豊かな森林と木材に恵まれた北海道生まれの言葉です。木を身近に使っていくことを通じて、人と、木や森とのかかわりを主体的に考えられる豊かな心を育むことです。
私たちのまわりでは、一枚の紙から家具や建物にいたるまで、木から生まれたものがたくさん使われています。でも、材料となった木やその木が生きていた森を想像できる人はどれだけいるでしょうか。「木育」は木とのかかわりを通して、私たちも自然の一部であり、多くの生命と共存しながら生きていることを実感し、未来につなげていく取り組みなのです。
南富良野町の幾寅保育所に「きぼうのプール」を寄贈
「きぼうのプール」は、応援メッセージなどが書かれた数百本もの「きぼう(木棒)」を木枠に入れた木製遊具で、協賛企業や団体の協力により製作したものです。これを東日本大震災などの被災地に贈る取り組みが行われ ています。平成26年度から28年度までの3年間に、岩手県久慈市の保育園など3県6ヵ所の施設に寄贈され、道森連と農林中央金庫札幌支店が共同して資材を提供しています。
「きぼうのプール」の贈呈式のようす
一昨年8月、4つの台風が北海道に上陸、接近しました。特に、台風10号は上川、十勝に大量の雨を降らせ、31日早朝には空知川が決壊し、南富良野町の市街地には、激しい濁流が押し寄せました。
町内にある事業所では、水が引いた後、行ってみると、玄関のカギ穴には砂などの異物が入り、まったく開かない状態でした。それをようやくこじ開け、事業所内に入ってみると、1m20㎝ほど浸水していて、窓ガラスは割れ、内部は濁流で泥まみれの状態だったといいます。
そのような南富良野町にある幾寅保育所に昨年12月、「きぼうのプール」が寄贈されました。
幾寅保育所にあっては、浸水などの被害はなかったものの、町内の災害復旧が優先されたことで、保育所改築工事の完了が遅れてしまいましたが、森林に囲まれた自然豊かな町にふさわしい施設として、町産トドマツのフローリングやカラマツの柱などの地域材がふんだんに使われており、現在入所している60名あまりの子供たちは、木のぬくもりに包まれて元気いっぱいに過ごしています。
平成29年度「緑化活動啓発作品」コンクール賞状授与
一方、「緑化活動啓発作品」コンクールは、毎年、道内の小・中・高等学校の児童や生徒を対象に行われています。森林や緑に関する「ポスター原画」や「標語」への応募を通じて森林や緑の大切さ、緑化活動への参加を広く啓発することを目的に公益社団法人北海道森と緑の会が主催、実施しています。また、応募のあった全作品の中から、1点だけ選んで「北海道森林組合連合会 会長賞」も同時に表彰しています。
今回のコンクールでは、「ポスター原画、中学生の部」に対し、全道から15校、89作品もの応募があり、最優秀賞、優秀賞、奨励賞で、計8点が選ばれました。その中で、千歳市立東千歳中学校の1年生の森本桂如(もりもと けいすけ)さんの作品が見事「優秀賞」を受賞。また、森本さんの作品は、応募のあった全作品の中から、1点だけ選ばれる「北海道森林組合連合会 会長賞」も同時に受賞しました。
この千歳市立東千歳中学校からは、今回だけではなく毎年、この「ポスター部門」に対し、全生徒からの応募があり、毎年のように数多くの入賞者を輩出しています。
森本佳如さんの「植樹する人」
「緑化活動啓発作品」コンクールの授与式のようす
林業を地域活性化の切り札に
道では、年内にも「北海道植樹の日」「北海道育樹の日」を制定する予定です。制定されれば全国の都道府県では初めてで、官民連携によるイベントを開く日とし、条例には木育の浸透を目指すことや森づくりに対する道民の役割も明記する予定です。
また、道は林業の担い手対策として、林業大学校などの人材育成機関を2020年をめどに設立します。道内の林業労働者は60歳以上が3割を占めるなど高齢化が進み、担い手の確保が難しくなっているからです。これを受け、道内各地で育成機関の誘致活動が本格化しています。
このような道の活動と連携して、道森連は今年度も「木育」を含めた森林環境教育などの活動を支援していきます。
●北海道森林組合連合会(道森連)
札幌市中央区北2条西19丁目1番地9
TEL: 011・621・4293