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特集記事

2019_05_25 | 2019年 5・6月号 巻頭記事 | | 編集部イーハトーブ

フェアトレードの視点から 農産物の価格事情を考える

札幌市では今、「フェアトレードタウン構想」を推進している。私たち消費者はコーヒーやチョコレート、バナナを食するとき、果たして輸出国の生産者の経営事情や雇用環境を考えたことがあるだろうか? フェアトレードの理念「公正な貿易をして貧困の根絶を目指す」ことは欧米社会の常識となっている。

(山田)

経済的に豊かな先進国は、世界中から農産物を輸入している。以前は労働者が劣悪な雇用環境であっても、また原料を廉価で買い叩く商行為であっても、先進国の消費者は知らずに看過してきた。これでは貧困による悪い連鎖はなくならない。途上国では時として資源を巡って内戦になり戦火を逃れる難民が出たり、飢餓状態に置かれたりする。
フェアトレードの活動は2000年、イギリスのガースタングで始まり、瞬く間に欧米社会に広がった。日本では2011年に熊本市が「フェアトレードタウン」を宣言し、これはアジア初で、世界では1000番目。今回、札幌市の活動が公的に認定されれば国内5番目の事例となる。大消費地・札幌市がフェアトレード推進を掲げて啓発活動をすることは意義深い。
不法伐採された南洋材も以前は日本に輸入されていたが、現在は産出国の証明の付いた合法材しか輸入できない。ロシアの密漁されたカニも根室や稚内に荷揚げされていたが、今日ではロシア側の「証明書」がなければ、北海道に荷揚げできない。資源保護には重要なルールだ。
フェアトレードは「公正な貿易」のことだが、これを「公正な取引」とも解釈できる。工業品と農産物は同じ土俵で比較できない。生産費割れして競り落とされる野菜や「水より安い牛乳」も普通に存在する。これを機に、公正な取引とは一体何か、一緒に考えたい。

2019_05_25 | 2019年 5・6月号 巻頭記事 |