森林を次代へ繋ぐために
道内の森林整備を担っている全道79森林組合の指導機関である北海道森林組合連合会(道森連)と、農林水産業をサポートする金融機関である農林中央金庫札幌支店は、環境保全に重要な役割を果たしている森林を次代へと繋ぎ、持続可能な森づくりの大切さを多くの道民に理解してもらうため、森林組合や市町村などが取り組む地域森林環境教育などの活動を支援しています。
今年も市町村が設置した認定こども園である、「奈井江町立認定こども園はぐくみ」と「認定こども園福島保育所」に、道産材で作られた「木のおもちゃ」を寄贈しました。
この「木のおもちゃ」の寄贈は、乳幼児期から「木にふれあう」機会を創出することで、「木」に対する豊かな感性と心を養い、想像力を高める「木育」の場づくりを支援するため、平成27年から実施し今年で4年目の取り組みとなります。
今後の課題の一つは、まだ実施できていない振興局管内が複数あることです。平成29年度より取り組みを始めた、道立施設に対する木育資材の寄贈事業と併せて、今後各振興局管内につき1ヵ所は寄贈活動を実施し、各地の子どもたちに「木のおもちゃ」を届けていきます。
奈井江町立認定こども園はぐくみの園児たちと記念写真
「木育」をもっと身近なものに!
道森連の阿部徹会長は言います。
「木育とは、子どもの頃から木を身近に使っていくことを通じて、人と木や森との関わりを主体的に考えられる豊かな心を育むという考えです。
私ども道森連は、理念が浸透するためのお手伝いをするため、平成24年度より地域森林環境教育活動支援を事業の一環として位置づけ、これまで木育資材及び教材の提供や木育資材の貸出による支援を行ってまいりました。初年度の支援先は2ヵ所にとどまっていましたが、平成29年度は29ヵ所に『森のかんさつ手帳』の提供や『きぼうのプール』を始めとした木育資材の貸出による支援をさせていただきました。
これは各地からの要望が増えてきたためであり、徐々に木育の理念が普及してきている結果と思います」
阿部 徹 会長
木製遊具「きぼうのプール」を寄贈
「きぼうのプール」の寄贈は、東日本大震災の被災地への応援メッセージを添えた「きぼう(木棒)」を木枠に収めた「きぼうのプール」を、被災地へ寄贈する取り組みです。平成26年度から継続して行っており、今年度は昨年の12月に岩手県内の2施設に寄贈しました。釜石市立鵜住居幼稚園(岩手県釜石市)は、昭和54年に創立されましたが、震災の津波で園舎が全壊し、当時の園長を含め教諭4人が犠牲になりました。
社会福祉法人大沢愛育会大沢保育園(岩手県下閉伊郡山田町)は、震災で園内に津波が押し寄せ、建物の一部が浸水し、また地盤沈下に伴い施設が傾くなど、築後50年が経つ園舎は大きな被害を受けました。
寄贈後両施設では、「きぼうのプール」で遊ぶ園児たちの歓声が響いていました。
大人気の「きぼう(木棒)のプール」
林業を通じて更なる地域活性化を
来年には、林業大学校の開校や育樹祭の開催と、北海道林業にとっても追い風となる明るい話題が続きます。
林業大学校は、木材生産量や伐採跡地への植林が増えている林業分野で、現場の作業や管理ばかりでなく、企業経営も支えることもできる優秀な人材を育成する目的で設立されるものです。来年の開校を目指し、実習拠点を道北、道央、胆振・日高、道南、オホーツク、十勝、根室・釧路の7ヵ所に設け、本部機能は旭川市に置きます。
一方、全国育樹祭は皇太子殿下をお迎えし、来年に苫小牧市で開催されます。
「木育をもっと身近なものにしていくと共に、森林を健全に維持していくために植樹や育樹が必要であることを広く道民の皆さまに分かり易く説明し、森林は地域の資源として有益であると同時に大切な自然からの賜物であることを、育樹祭を契機に道民に伝えていきたいと思います。
森林を守り育て、木材を使うという環境を作り上げることを通じて、北海道の林業と地域の活性化に繋げていきたいと考えています」と阿部徹会長は話しています。
認定こども園福島保育所の園児たちと記念写真
●北海道森林組合連合会(道森連)
札幌市中央区北2条西19丁目1番地9
TEL: 011・621・4293
2019_03_02 | 2019年 3・4月号 3・4月号 特集 道森連 | 教育, 木, 木棒, 木育, 林業, 自然