菜園ではナスはトマト、キュウリと並んで人気の品目ですが、うまく育たないという声も聞きます。また、品種が多くあり、それぞれの味わいも異なります。ここでは栽培と品種選びのポイントを紹介します。
渡辺農事㈱ 安達 英人 さん
◆栽培のポイント
ナスは高温性で多くの水分と肥料を必要とします。このため、トマトの横に植えて、トマトに合わせて水や肥料を与えると、ナスには足りないことになります。
あらかじめマルチを張っておいて、地温を上げておきます。定植は6月上旬に行い、地上部を風よけやポリで覆います。
窒素肥料はトマトの1.5倍の15g/㎡とします。収穫が始まったら2週間に1度、通路に追肥を施します。
仕立ては主枝と第1花の下から出る側枝を2本伸ばして、3本仕立てとします。この3本からも側枝が出て花が咲きますが、花の上2葉を残して先端を摘みます。ナスは乾燥には弱いので、7月以降は通路かん水も行います。乾燥すると葉のツヤがなくなり、つやなし果の原因にもなります。
左:整枝1 右:整枝2
千両二号とくろべえ
◆品種選びのポイント
まず、ナスの大きさで品種を選びます。70g前後の長卵型品種が作りやすくどんな料理にも向きます。長ナス、大長ナスは果実が150gくらいになり、樹の負担が大きいので多くは生りません。
まるごと漬けるには『ちび丸』が適しています。米ナスとイタリアナスは肉質が硬いですが加熱するとトロトロになりますので、チーズをのせて焼くといいでしょう。
苗を購入するときは、品種名を確認して、特性と果実の大きさを知っておきます。収穫が遅れると肉質が粗くなります。
ナスを栽培中に葉が黄化、脱落、しおれが見られた場合は『半身萎凋病』の可能性が高いので、病原菌が土に残りますので、次年は栽培しないほうが無難ですが病気に強い接ぎ木苗は栽培できます。
ナスは栄養が少ないと思われていますが、皮には『ナスニン』というポリフェノールが豊富に含まれています。ナスニンは水溶性で茹でたり煮たりすると流れ出てしまうので、油で揚げる、炒めるなどが適しています。 また、ナスは水にさらしてアクを抜くと、ナスニンやミネラルが流れ出てしまうので、切ったらすぐに調理しましょう。
〈寄稿〉
縞むらさき
白ナス
緑ナス
なすの種類(農水省HPより)
渡辺農事㈱北海道営業所
http//www.watanabenoji.com
E-mail: adachi@watanabenoji.com
TEL: 011・577・3231