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– GAP認証農場を 訪ねて Series4 –
安全・安心な農産物を届けたい とうや湖農業協同組合
【イーハトーヴ × ゆめさぽ Collabo‐Campaign】

GAPってなんだろう? 食の安全は食品に関わるあらゆる産業界に求められている必須条件。農業界でも今、農産物の安全基準というべき「GAP認証」へ向けた動きが活発だ。今回の取材先は早くからクリーン農業を推進している『とうや湖農業協同組合』。本紙は「ゆめ・きた・さぽーと」の大滝昇社労士、廣田陸奥夫税理士(ともにJGAP指導員)と一緒に、現地取材を敢行した。

文/山田勝芳

洞爺湖サミットで注目先進的な環境配慮の取り組み

「JAとうや湖」の管内エリアは洞爺湖周辺一帯だ。昭和62年、旧虻田町、旧洞爺村、豊浦町、壮瞥町、旧大滝村の旧5町村のJAが合併し、道内で初めて広域合併農協として「JAとうや湖」が設立された。
平成20年に洞爺湖サミット(環境サミット)が開催されたが、農業分野における環境を配慮した様々な取り組みが注目された。減農薬などによるクリーン農業の取り組みのほか、温泉熱利用や雪氷エネルギーの活用による電力使用の削減(二酸化炭素の削減)など特に注目を集めた。

各地域も個性的農業で、洞爺湖町は施設園芸が行われセルリーやトマトなどを生産。豊浦町は青果物や酪農・畜産が盛んだ。特に「豊浦いちご」は全国ブランドとなっている。壮瞥町は温泉熱を利用した施設園芸が行われトマト、ほうれん草、果樹などを生産。山間部にある大滝地区は酪農が中心で、青果物では長芋、ブロッコリーが栽培されている。このように各地域の自然環境を活かした特色ある農業が営まれている。
農業生産額は約54億円、うち畜産が25億円(47%)、野菜、果物、花きの青果物が22億円(41%)、水稲、小麦、てん菜の農産物が7%、雑穀が5%となっている。

 

[写真中央]佐伯農園代表・佐伯昌彦さん、[写真右]JAとうや湖クリーン農業推進課長・真屋賢介さん、
[写真左]JAとうや湖クリーン農業推進課係長・佐藤憲一さん

 

グローバルGAPを団体認証として取り組む

JAとうや湖はほかのJAと比して、突出した農産物はない。いわば少量多品目だ。その分、「安全・安心な農産物を消費者目線で提供したい」と早くからクリーン農業に取り組んできた。さらに、その延長線上に「グローバルGAP」を位置づけた。

平成21年には早々とグローバルGAPの団体認証を取得した。これは農場管理の認証だが、取得によって何か問題が発生しても原因究明を迅速に図れる利点がある。さらに、安全・安心な農産物を消費者や量販店に届けることにつながると考えた。
グローバルGAPのチェック項目は200以上あるが、半数をJAが担うことで生産者の負担を軽くした。具体的にはJAは品質管理の面、生産者は圃場と施設管理の面というように役割分担をした。また、認証取得に経費が掛かるが、それもJAが全額負担した。予算に限りがあるため、毎年13名の生産者がグローバルGAPを取得する計画だ。根気のいる事業だが、一巡すれば地域農業にとって大きな財産になるはずだ。
JAがGAPに取り組む事例は道内では「JAとうや湖」と「JA北ひびき」の2例しかない。それを見てもいかにも先進的な取り組みだということがわかる。洞爺湖は国立公園、現在の自然環境を次世代に引き継いでいかなくてはならない。農業も早くから環境負荷の少ない営農を掲げる姿勢は素晴らしい。
GAP志向は世界のすう勢だが、消費者の周知度はまだ途上、ぜひ知ってほしい。

2019_07_24 | 2019年 9・10月号 GAP認証農場を訪ねて イーハトーブ 連載 | ,