IHATOV|イーハトーヴWEB北海道|北海道のフリーペーパー

IHATOV|イーハトーヴWEB北海道|北海道のフリーペーパー
  • 紙面版を見る

特集記事

2019_07_24 | 2019年 7・8月号 主産地訪問記 連載 | | 編集部イーハトーブ

【主産地訪問記】
選りすぐりのユリをつくりたい
JA北いしかり当別花卉生産組合ユリ部会 部会長 木屋路尚史さん

当別町は全道有数の花卉産地。ユリを筆頭として市場の評価も高く、毎年行われる「北海道切り花品評会」では、当別花卉生産組合は農林水産大臣賞等の多くの賞を受賞しています。同組合ユリ部会の木屋路尚史部会長にユリづくりについてお聞きしました。(6月4日取材)

高品質の秘訣は10の部会

当別町産の花卉は、現在82名の「当別花卉生産組合」の組合員により生産され、栽培技術と品質に対する市場の評価は高く、全道有数の産地として確立しています。また、ユリは高冷地(6月~11月)の出荷では、全国2位の出荷量を誇ります。
同組合は品目別の部会で構成されています。組合員は自由に生産する品目を選ぶことはできますが、必ず自分が作付する品目の部会に所属しなければなりません。各部会では栽培技術や品質の向上に取り組み、特に共同で出荷するものには厳しい基準を設け、常に高品質のものを消費者に届けられるよう努めています。
部会は、ユリ、デルフィニウム、カスミソウ、カーネーション、ヒマワリ、トルコギキョウ、キイチゴ、カラー、チューリップ、バラの10部会にも及びます。
ユリ部会では、「『シベリア』の生産の継続」を申し合わせているそう。この品種は作り方が難しく、茎の堅さ蕾の大きさ、枝をいかに短くするかといった品質基準にそって作れない産地が多い中で、「当別の生産者はきっちり作れる」と高い評価を受けているそうです。

 

木屋路尚史さんと奥さんの祐美さん
蕾状態の「ビラブランカ」という品種。6月中旬に出荷予定

 

ユリづくりは日々の地道な管理が大事

木屋路尚史さんが花づくりを始めたのは19歳から。今年で27年目になります。「作り始めたころは、全国的にユリが出回っていないときだった。最初のころは失敗しまくっていたように思う(笑)」と当時を振り返ります。
今年の栽培品種はシベリア、シーラ、ホメロス、レクサス、オバタなどの18種類。ユリづくりの一年の大まかなスケジュールは、3月中旬から8月中旬まで定植、6月下旬から11月中旬まで出荷。一つのハウスで2回収穫することもあります。1回収穫したら耕して、新しい球根を植えます。
ユリづくりで念頭においていることは「良いユリを作りたい」という真摯な思い。その取り組みの一つが連作障害対策のための土壌消毒作業(蒸気消毒)。品質の良いユリづくりには欠かせない作業で定植前に行います。当別町では多くの組合員がこの蒸気消毒を行っています。

ユリの栽培日数は、基本的な気候で11週から13週としています。積算温度で違うので、寒い時期だと積算温度に日数がかかるので時間が延びるし、夏は温度が高いのでそれよりは短い。
そして夏(2回目)は、3月に植えるのとは全く温度が違うので、暑さ対策も含め工夫しながら作業を進めています。
「7月からお盆までの間は、植え込みと出荷と、蒸気消毒が全部重なってしまって大忙しです。だからこの時期は、朝3時半起きの、夜11時ごろまで作業したりしています」。こうしたユリ栽培の真摯な取り組みが、高品質なユリ生産につながっています。
きれいなのが当たり前と思っていたお花は、生産者の方々が手間暇おしまず育ててくれたおかげで楽しめると、今回いろいろお聞きして、改めて実感しました。

 

◆木屋路農園の経営概要◆
栽培品目、花卉(ハウス27棟〔97a〕、露地5a)、水稲(11 ha)、小麦(45 ha)。
ユリ(オリエンタルユリ)の作付面積約140a(2作するため)、18品種、約21万本を生産。〔いずれも令和元年計画〕。尚史さんは5代目、花づくりは父の代から開始。

 

北石狩農業協同組合 営農販売部花卉課

石狩郡当別町錦町53-57

TEL: 0133・23・2535

 

 

2019_07_24 | 2019年 7・8月号 主産地訪問記 連載 |