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特集記事

2019_05_01 | 2019年 5・6月号 わがマチ自慢 連載 | , , | 編集部イーハトーブ

【わがマチ自慢】今回は長万部町

わがマチの1次産業の魅力をお伝えします。今回は札幌と函館とのほぼ中間に位置し、札幌延伸時に北海道新幹線の駅舎も開業する長万部町です。木幡正志長万部町長にお聞きしました。

 

DATA

【人口】5,339人(H31年2月末日現在)
【世帯】2,926世帯(同上)
長万部町役場
〒049-3592 北海道山越郡
長万部町字長万部453-1
TEL:(01377)2-2000

木幡 正志 町長

 

新幹線駅が開業することでマチも大きく変わりますね

わがマチは国鉄が民営化される前は1万1千人の人口がありましたが、民営後は9千人まで減りました。交通の要衝であったため、国鉄の職員が多く住み、拠点のマチだったからです。今回、北海道新幹線の駅舎ができるのを機に、もう一度、交通の要衝としてのマチづくりを考えています。
最初の駅舎は国のプランでは、現駅舎を60㎝掘り下げて造る予定でした。しかし、これでは津波が発生すればその被害が甚大になってしまう。そこで何回も交渉し、高高架と呼ばれる3階建ての駅舎になりました。1階は在来線が走り、2階はコンコース、3階を新幹線が走ります。
この大きなチャンスを逃してはいけません。町民、商工会、観光協会が一致団結して盛り上げていかなければなりません。長万部温泉は駅舎から降りて3分のところにあります。待ち時間に気軽に温泉を利用してもらうのもいい。駅舎周辺に地元の業者に出店してもらう。また、宿泊施設も必要です。札幌まで所要時間が39分ですから、通勤圏にもなる。そのための住居も必要になります。さらに、「まちづくり協議会」には、長万部高校の生徒さんも参加していただき、意見を出してもらい、マチづくりの参考にしています。
4年後に予定される都市計画決定後から新幹線駅前広場の整備などを順次着工する予定でいます。

 

長万部といえばやはり「かにめし」と「まんべくん」ですね。

「かにめし」は「かにめし本舗かなや」が、食糧難の時に、茹でた毛がにを汽車の中で販売したのが始まりです。これが評判となりましたが、茹でた毛がには漁期の夏場しか出せません。そこで毛がにの美味しさを1年を通して味わってもらおうと考え出されたのが。「かにめし」でした。今年で70年を迎えましたが、2月で駅弁としての販売は終了しました。ですが、それぞれの店頭では販売を続けています。「かにめし本舗かなや」を始め、「かにかにKAN魚粋」「カネフク浜形水産」「長万部物産センター」「横手商店」「ドライブインかに精」「ホットペッパー」で買うことができます。
また、「おしゃまんべ毛がにまつり」は、マチのメインフェスティバルです。「全日本毛がに早食い競争」を始め、毛がにや長万部温泉入浴券などが当たる「お宝毛がにもちまき」や大判振る舞いの「毛がに格安販売」など多彩なイベントが目白押しです。6月下旬もしくは7月上旬の土・日曜日の2日間(今年は6月29〜30日)行われ、昨年は2万人の来場者が訪れました。
そして、マチのPRキャラクターとして大人気の「まんべくん」。「まんべくん」は、2003年に「長万部町開礎130年町政施行60年」の記念事業として行われたイメージキャラクターの公募で入選した作品が起源です。
その外見は、マチの名産品であるかに、ホタテ、アヤメを組み合わせたデザインになっています。誕生日は7月31日で、週末のお昼前後に長万部駅に着く特急列車のお出迎えをしています。
また、クッション、ぬいぐるみ、マスコットキーホルダーなどの「まんべくん」の関連グッズも大人気です。

 

かにめし

 

ホタテの養殖に異変がおきていると聞きましたが。

わがマチは噴火湾の一番奥に面しているので、外洋漁業が難しい。外洋に出るまで時間がかかるため、どうしても鮮度に影響が出てしまうからです。そこで力を入れてきたのが養殖漁業で、その中でも、90%ほどのシェアを誇るのがホタテの養殖です。今、そのホタテ養殖に大きな問題が発生しています。昨年の夏頃から、7㎝ぐらいの小さいホタテの大量死が発生しています。このままの状態が続けば、総生産量は4割ぐらいに落ち込むかもしれません。
最大の問題はその原因がはっきりとわからないことです。強いやませが吹き、海水をかき混ぜ、全体の海水温が上がったためなのか、よくわからない。また、わがマチだけが被害にあっているわけではなく、噴火湾沿いの他の町村も同じような状況に置かれています。
原因の追求のためにも一度、本格的に噴火湾の海底の底質調査も必要と考えています。

 

ホタテ漁

 

農業は畜産と畑作が中心ですね。

酪農家は22戸、うち専業農家は11戸います。昔に比べれば戸数は随分減りました。牧場も町営のものが4つありましたが、今は2つになり、残りの2つは民間会社に譲渡しました。近郊の豊浦町や洞爺湖町からも乳用牛の預託を受けています。
ここでも30年ぐらいまでは米も生産していましたが、泥炭層で土壌が悪く、酪農でしか生きていけないのが現状です。逆に、海からの潮風にはミネラル分が豊富に含まれているので、牧草には恵まれています。
そのような厳しい土地柄なのですが、最近は乳価も上がり、肉牛の需要もあり、経営は安定してきています。

 

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