私たちの体は口から摂った食べ物でのみ作られています。だから、食べ物は安全かつ健康に良いものを選びます。また、食から様々な問題を見ることができます。例えば地球温暖化や微粒プラによる海洋汚染などの環境問題、また身近な所でも格差社会の歪みや、世界各地でも貧困による飢餓が見えてきます。
炭酸ガス削減の問題を考えるとき、食べ物の地産地消は理にかなっています。輸送に燃料を大量に消費する外国産よりも、身近な食材選びをした方が炭酸ガスの削減に大きく貢献します。
また、食べ残しなど残さ類をゴミとして出せば焼却処分されて、逆に炭酸ガスを増やすことにつながります。食べ残しなどをなくし、残さを最小限に抑える試みや、残さをすべてコンポストで堆肥づくりに利用するなど、家庭からでも炭酸ガスの削減につながる生活行動ができます。
微粒プラスチックによる海洋汚染も深刻です。河川から海に流れ出たペットボトルなどが粉砕されてできた微粒片が魚介類に悪影響を及ぼしています。その魚介類を食べた私たち人間の体内にも微粒片が蓄積されていることが報告されています。地球規模で生態系に深刻な影響を与えています。レジ袋もそうですが、食品の包装もプラスチックを減らす変革をしなければなりません。ドイツではペットボトルにデポジット方式が取られています。そんな環境先進国は素晴らしい取り組みです。
食卓や外食の現場では食べ残しが見受けられます。これはとても悲しい光景です。こんなとき世界の貧困地域を想起してください。餓死して亡くなる子どもたちが大勢います。私たちの身近にも格差社会が生んだ貧困があります。
賞味期限切れで廃棄される食べ物は600万トン。
これら廃棄された食品は焼却処分され、地球温暖化の元凶である炭酸ガスを大気中に大量に放出します。社会の悪しき習慣である上、環境に負荷を与え、少しも社会のために何らプラスにはなりません。現代の大量消費・大量廃棄は経済の好循環を生むためには〝是〟とする考えもありますが、筆者なら間髪を入れずに「ノー」です。
廃棄された大量の食物が灰になる、何と〝もったいない〟行動でしょうか。もう一方の貧困層に食物が行き渡れば、栄養失調で死なずに済む子どもたちは大勢います。
翻って国内に目を移すと、私たちの身近な所にも格差が生んだ貧困が横たわっています。コロナで経済活動が停滞し、そして失業へ。
こうなれば家庭経済は成り立たず家計は汲々とします。こんなとき、「フードバンク」や「子ども食堂」があれば大助かりです。廃棄されず地域社会の中で充分活かされた食料品たちにとっても本望です。コロナでアルバイト先を失った学生たちも食料品の配給を受けて笑顔を見せていました。しかし、こうした活動も都市部に集中しています。
消費者グループがそれぞれの家庭で余った食材(賞味・消費期限内)を持ち寄って料理を作り、参加者で試食する「サルベージパーティ」もあります。これも捨てずに済むし、調理の後は皆で楽しめるひとつの方法です。
経済活動が低調な時代は〝買って応援〟の気持ちも大事です。〝ひとりじゃないぞ〟と実感できる支え合う社会、そんな私たちの郷土にしたいものです。
[山田 勝芳]