4月に開校した「北海道立北の森づくり専門学院(北森カレッジ)」は、北海道の林業は木材産業にどのような影響を与えていくのか。寺田宏学院長に聞きました。
コロナ禍により大きな影響を受ける
-新型コロナの影響でいろいろな業種に休業要請がなされました。北森カレッジではどのような影響を受けましたか。
寺田
本学院では、道内初の林業大学校として開校式を盛大に開催するとともに、多くの来賓を招いた入学式を予定していましたが、新型コロナの影響でこれらが全て中止となりました。
北海道独自の緊急事態宣言を受けて入学式当日から5月10日まで臨時休業するとともに、国の緊急事態宣言によりこれを5月末日まで延長し、約40日間にわたって休業しました。
休業期間中は、自宅学習ができるようテキストやDVDなどを郵送し課題を与えるなど、学習の遅れをできるだけ取り戻せるよう工夫しました。今回の休業期間中には、オンライン授業は行いませんでしたが、今後に備えて通信環境の整備やコンテンツの開発などを行い、速やかに対応できるよう準備を進めています。
-今年度の生徒数は若干定員を割りました。これを踏まえて来年度に向けての募集活動を教えてください。
寺田
本州にある多くの林業大学校では、1学年の学生定員を10~20名としているのに対し、本学院は40名としています。これは、北海道の森林が全国の森林面積の4分の1を占めることや、国内最大の木材生産量や生産額を誇る北海道の優位性などを踏まえ、高い目標を設定したからです。
第1期生となる学生の募集に当たっては、テレビCMやインターネットの利用、オープンキャンパスの開催など様々な手法により本学院の良さや魅力を周知した結果、39名の出願があり最終的に34名が入学しました。まだ、実績のない本学院に対して定員に近い方々が入学を希望されたことについては一定の手応えを感じるとともに、本道の森林・林業・木材関連産業に対する関心や期待の大きさを実感しました。
来年度の募集活動では、FacebookやTwitter、YouTubeなどのSNSを最大限活用し、学生の様子や実習風景などを頻繁に情報発信したいと考えています。また、高校などへの学校説明会や受験会場を増やすなど、多くの学生や社会人に方々に本学院に関心を持ち、入学を希望していただけるよう募集活動を展開することとしています。
このほか今年度中には、木材をふんだんに使用し、木質バイオマスによる暖房システムを導入した新校舎が完成することから、木の香り漂う快適な室内空間で学べる新校舎について積極的にアピールすることとしています。
寺田 宏 学院長
林業や木材産業の成長産業化に寄与
-北森カレッジの開校により、10年後、20年後の北海道の林業や木材産業はどのように変わっていますか。
寺田
卒業生が即戦力として現場で働き、森林資源を再生産しながら、本道のみならずわが国の林業・木材産業を牽引していくことを期待しています。
一方、人口減少問題が本道の最重要課題となっている中、森林王国といわれる北海道において、地域の基幹産業である林業・木材関連産業の成長産業化は、持続可能な地域社会を構築する上で選択肢の一つになり得ます。また、森林を整備し木材を利用することは、地球温暖化防止対策や近年世界的に注目されている「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標達成にも貢献する重要な活動であり、本学院で学んだ卒業生が自信と誇りをもって現場で働き、将来の森林づくり、地域づくりを担ってくれると確信しています。
-今日はお忙しい中ありがとうございました。
新校舎の完成予想図
●北海道立北の森づくり専門学院
旭川市西神楽1線10号
TEL: 0166・75・6162