わがマチの1次産業や観光の魅力をお伝えします。今回は「あなたがイメージする北海道の自然に出会えるまち」足寄町です。渡辺俊一町長にお聞きしました。
DATA
【人口】6,699人(R2年10月30日現在)
【世帯】3,474世帯(同上)
足寄町役場
〒089-3797 北海道足寄郡足寄町北1条4丁目48番地1
TEL:(0156)25-2141
足寄町長 渡辺 俊一 氏
管内屈指の林業・木材産業が盛んなマチですね!
わがマチの面積は広く、約1408㎢あります。以前市町村では日本一の広さを誇っていましたが、平成の大合併後は、全国で6番目の広さになりました。しかし、町村のみで比べればまだ日本一の広さです。
マチの面積の82%が森林で、55%が国有林となっていますので、昔から林業や木材産業が盛んです。私が小さい頃は、木工場がたくさんあって、大きな丸太の上で遊んだ記憶があります。
平成18年に新築した役場も町有林から伐り出した木材を利用して建てています。建築時にはたくさんの見学者を迎え入れて、大きな話題になりました。また、木質ペレットをつくり、ボイラーで燃焼させて、熱供給を行っています。芽登(めとう)という地区の廃校になった中学校をペレット工場にして、役場や消防署、高齢者等複合施設、子どもセンター、認定こども園どんぐりなどに、熱を供給しています。
そして、わがマチは昨年開校した北の森カレッジの実習の場にもなっています。林業就業者が高齢化し、若い人たちがなかなか就業してくれない現状を、大きく変える起爆剤になってくれるものと期待しています。
私の子ども時代の賑わいには劣りますが、林業や木材産業が、わがマチの重要な基幹産業であることには変わりありません。
町有林を利用して建てた役場
農産物は北海道遺産に認定されている螺湾(らわん)ブキが有名ですね!
北海道遺産に認定されてから知名度が上がり、足寄町といえば螺湾ブキと言っていただけるような特産品になりました。生ブキで販売されるのは、6月上旬から6月下旬までの約1カ月間ぐらい。それ以降は、JAの山菜工場で加工され、いろいろな特産品として販売されています。
それ以外には、小麦、ビート、豆類の畑作3品です。他の十勝管内ではこれに馬鈴薯が加わり、4品の輪作体系をとっていますが、わがマチは中山間地であるため3品でまわしています。しかし、ここ最近、香川県で冷凍食品を作っている「味のちぬや」が町内に集出荷施設を建て、足寄産の馬鈴薯を使ったコロッケの製造に力を入れています。その結果、馬鈴薯の生産も増えています。基本的には業務用で、セブンイレブンで販売しているコロッケパンのコロッケにも使われています。
また、イチゴの栽培も広がっています。温泉熱を利用したハウス栽培で、今は15棟ぐらいで行っています。品種は「スウィーティーアマン」。香り豊かで、中まで赤い、甘いイチゴです。
北海道遺産の螺湾(らわん)ブキ
足寄町は放牧酪農推進のマチです!
昔、わがマチ出身の歌手松山千春さんが、「足寄は人より牛の数が多い」と言っていたぐらいですから、当然、酪農畜産は盛んです。
わがマチの特徴は、平成16年に「放牧酪農推進のまち」を宣言したことです。これは本州の方にも知れ渡っていて、放牧酪農をやりたくて、わがマチで就農する人も多い。
酪農には、牛舎の中で牛を飼養管理する「舎飼い」と牧草地に牛を放し飼いして、生い茂る牧草を自由に食べさせる「放牧」の2通りあります。
放牧酪農は、牧草の自給で飼料や大型機械のコストが減ります。そして、牛が運動して食べることで健康になり、朝晩エサをやる労働時間も減り、総体的に収益が上がります。放牧先進国ニュージーランドでは、酪農家の収益が上がり、国の主幹産業にまで成長しました。
わがマチには酪農家は83戸ぐらいいて、純粋に放牧酪農を行っているのは20戸ぐらいでしょうか。後は、一部放牧酪農のメリットを取り入れながら行っています。
JAの方でも、いろいろな経営を尊重するということで、積極的に応援しています。
放牧酪農のようす
観光や特産品について教えてください!
螺湾ブキを使った特産品として、水煮、漬物、塩漬け、佃煮、炊き込みご飯の素、カレー、ふきのとう焼酎などがあります。
そして、ストレスのない放牧酪農の牛の生乳からは、世界的なコンテストで賞をもらっているチーズが作られています。「あしょろチーズ工房」や「しあわせチーズ工房」のチーズはまさに絶品です。今後も新規でチーズを作りたいという職人も続いており、チーズ王国と呼ぶにふさわしいマチになっています。
一方、わがマチには四季を通して様々なイベントがありますが、昨年はコロナ禍の影響で大部分が中止となりました。
6月中旬には、「ラワンぶきまつり」、8月中旬には、約8000発の花火が夜空を彩る「足寄ふるさと盆踊り・両国花火大会」、9月下旬には、オンネトーの自然を満喫する「オンネトー物語」、12月の「ウッドキャンドルナイト」では、カラマツ材などを使った「ウッドキャンドル」と「アイスキャンドル」を点灯し、冬の夜を楽しみます。
コロナ禍が収まり、今年こそは開催されればと願っています。
2021_01_19 | 1・2月号 2021年 わがマチ自慢 連載 | 教育, 木, 林業, 特産品, 育てる, 観光