IHATOV|イーハトーヴWEB北海道|北海道のフリーペーパー

IHATOV|イーハトーヴWEB北海道|北海道のフリーペーパー
  • 紙面版を見る

特集記事

2022_05_02 | 2022年 5・6月号 巻頭記事 | | 編集部イーハトーブ

食料自給率15%の小麦から日本の食の安全保障を考える

「食料自給率を高めることは食の安全保障上、重要か」の質問に対し「当面の目標数値45%として、目標数値が達成されるように諸政策を動員して推進する」と答える。国の農政は決まりきった問答を繰り返すが目標年はいつも先送りだ。世界の穀物が減少し、食料難時代が近年来るかもしれない。

文/山田勝芳

小麦の自給率は15%で、穀物市況では史上最高値を更新中だ。それを受けこの春、小麦由来の商品(パン類・菓子類・麺類など)の店頭価格は軒並み値上げとなった。

要因は2021年の南米・北米の高温乾燥で、収穫量が大幅減少し、需給バランスが大きく崩れたため。今後もウクライナの戦争による混乱で今秋以降も小麦市場の不安定化に拍車がかかる。
輸入小麦の相手国は日本の場合、米国、カナダ、豪州でほぼ全量輸入している。有力生産国のウクライナやロシア(両国とも生産量上位国)は入っていないが22年産が出回る秋以降、世界の小麦の需給が再びひっ迫して価格の高騰が懸念されている。
このように食料自給率が低いと国際相場の荒波をもろに被ることになる。日本の食料自給率はカロリーベースで37%、先進国中で最下位だ。食の安全保障は無きに等しい。米の自給率は98%、世界の穀物相場が変動しても微動だにしない。異常気象による干ばつと風水害、戦争の混乱、原発事故などで国際取引の通常性が崩れたとき日本社会にも食糧難時代がやって来るかも知れない。

昨年の南米・北米の高温乾燥はほかの穀物も当然収量ダウンとなった。例えば大豆。国産大豆の自給率は7%で、97%の不足分は米国・ブラジル・カナダからほぼ全量を輸入している。日本にとっては大打撃である。当然、大豆由来の食品も値上がりする。自給率を高く保つことは重要だ。

2022_05_02 | 2022年 5・6月号 巻頭記事 |