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特集記事

2022_09_05 | 2022年 9月・10月号 ゆめさぽ | , , | 編集部イーハトーブ

事業承継 ~ 次の主役たち
個人事業から法人化へ 米農家としての挑戦
農業法人FMF株式会社 松本文男氏に聞く

日本農業の最重要課題というべき〝世代交代・事業承継〟についてフォーカスし、次世代の農業を担う社長にインタビューを行うシリーズ。第二回目は、石狩市八幡町高岡で米を中心とした農業を営み、昨年二月に会社として法人化した松本文男社長に話を伺った。

Q. 法人化に至った経緯とは?

後継者問題が大きい。個人事業のままだと、自分の息子に負担をかけてしまう。やりたいことがあるのに、縛り付けたくはなかった。また、農業は本当にやる気が無いと生き残れない時代になった。法人化することで、後継者選びの選択の幅を広げ、「生き残れる農業」を目指していくことを決意し法人化に至った。

 

代表の松本文男氏。苗には小さな白い花が咲き、穂がつき始めていた。

 

Q. 法人化から一年、感じることは?

作業自体にそれほど変化があるわけではないが、取引先から信用を得られやすくなったと感じている。会社としての信用度が高くなった分、幅広く事業を行っていくことが可能となったように捉えている。

 

Q. 現在の課題は?

まず、肥料や燃料などの原価コストの値上がりが問題となっている。原価コストが上がっている中で、自社で販売価格を決められるわけではなく厳しい状況が続いている。
また、人材の確保にも課題がある。新規就農者など、脱サラして野菜の生産農家にというケースは最近耳にするようになったが、米農家に転職というのは、なかなか聞いたことが無い。「米」に興味を持ってもらえる人を見つけにくい状況である。また、農協から派遣されるグリンサポーターについては、高齢化が進み、人手の確保が難しくなってきている。

 

Q. 今後チャレンジしていきたいことは?

従業員を増やし、請負の作業の拡充を行いながら、現在「米、麦、ブロッコリー、馬鈴薯」を生産しているが、品目を絞りたい。人件費のかかる野菜の生産を縮小することで、「米と麦」を主として動かしていき、収入のバランスを良くしていきたい。その上で、独自のブランドづくりを行ない、個人売りの販売を増やしていくという構想がある。
昨年は温暖な気候も影響し、品質が高く旨い米が収穫できたが、国内の米自体が余剰となっていることもあり、市場価格は下落した。市場価格によって左右される農業のやり方では、リスクがある。そういった中で現在生産する米・麦については、大きく分けると、国からの交付金がつく飼料米を4割、その他に加工米、主食用(ゆめぴりか、ななつぼし)を生産しており、収入を安定させるようにはしている。出荷先に関しては、農協を通して商社に販売しているものが多い。リスク回避のためにも、今後は特に主食用の米をブランド化し、販売していきたい意向だ。
国内の米の消費量が減っていく中、生き残りをかけ、独自ブランド化を行い「差別化」を図りたい。米の差別化はなかなか難しいようにも感じるが、消費者がどのようなものを求めているのか、外の声も聴きながら、一般家庭の人々に認めてもらえるような、独自ブランドを築いていきたい。

 

取材を終えて

父から農業を引き継いで、常に手堅い経営を行ってきた松本社長、そんな彼が満を持して法人化したのには、きっと「勝算あり」と目論みがあったに違いない。それを彼の目の輝きが物語っていた。今後の松本社長の手腕に期待したいと思う。

(廣田)

 

●企業データ

○住所 石狩市八幡4丁目147(本社)

○作付面積 25町

米 12町

麦 2町

ブロッコリー他 39町

計 20町

 

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