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特集記事

2022_10_26 | 11・12月号 2022年 特集 | , | 編集部イーハトーブ

道内149自治体で821名の地域おこし協力隊が活動中です

採用は一年毎に更新し最長三年までだが、任が解かれても地元企業に就職したり、新たに起業したり、一次産業に従事したり、観光分野(ガイド業など)に従事したり様々だが定住するケースが非常に多い。過疎が進行する北海道では「地域おこし協力隊制度」は大助かりだ。

スタート時と現在では積極性で雲泥の差

そもそもの発想は「人口減少や高齢化の著しい地方で、地域外の人材を受け入れて第一次産業の従事や住民の生活支援に従事してもらい、住民の定住・定着につなげることを目的」としてスタートした。一言でいえば「地方創生」や「ふるさと創生」のための事業ではあるが、どちらかというと充足されにくい分野の「人手不足」を補う目的で協力隊を採用していた。だから自治体は当初、任を終えた後の協力隊員の定住化まで目論んではいなかったのではないか。
この制度が動き出して8年経過した現在、道内全体72・9%の割合で定住に結びついている(全国第3位)。ここに至るまでの経過を見聞してきたが、思い描くほどそう簡単なものではない。地域色、地域の実情に合わせた仕組み(土地の実情にあった制度設計)がそれぞれの町で発案されなければならなかった。
当初は協力隊員の仕事は「まちのなんでも屋さん」的な、悪く言えば雑務係的な業務に従事させていた。記憶に残る一例をあげると、道央圏の山間部のある町ではお年寄りの買い出し手伝いや除雪など生活フォロー的な仕事に協力隊員を従事させていた。

これでは次のステップにはなかなか進めない。たまたまその後〝そのまま定住〟に繋がるケースもあるかもしれないが確率は下がるのは明白だ。若い協力隊員は待遇面ばかりでなく〝遣り甲斐〟や〝働き甲斐〟〝仕事の面白さ〟につながらなければ次の段階にはつながらない。住民の不便さを解消させる〝駒扱い〟では良縁関係とは言い難い。
雑務的業務の多かった過去の反省の下、今は協力隊の応募者にマチの活性化策をプレゼンさせたり、「このマチで何を遣りたいか」を発案させたりして採用へつなげている。
「農業補助」「林業補助」「観光補助」「福祉補助」など仕事の内容別に隊員を募集している。入り口が分かり易く、採用後のおおよその業務が分かり、トラブルは少ないと予想できる。

2014年にスタートした「地域おこし協力隊」事業も8年目、ようやくそれぞれの自治体のカラーを出して定着したといえよう。

 

総務省のイベントポスター(過去に使用したもの)

 

農業で独立を目指すなら協力隊の農業補助の選択

記者は取材で様々な隊員と面談してきた。若者たちは「何で働くか」「どこで働くか」、結構考えながら仕事と向き合っている。仕事の性格上、農業分野で働く若者が多いが、生涯過密な大都会で働くつもりはなく、「農業を生涯の仕事」と捉え北海道へやって来た若者が意外と多いのに驚いた。
面接時に希望を言って協力隊として採用され「農業補助」に就き、そこで農業を習得し、また自ら農業の適性を判断した上で、それから新規就農へステップを踏んだ若者もいる。かかる期間が協力隊員も農業研修生も同じ2~3年かけるなら、協力隊の農業補助として採用されて農業を学ぶ方が給与などの待遇がある分断然いい。農業研修生は実費の部分が多く「親から仕送りしてもらった」ケースもままある。田園都市の協力隊を目指すことをぜひ薦めたい。

 

若手起業家や子育て世代に受け入れられるマチ

基本は「類は友を呼ぶ」ではないだろうか。東川町は全国から様々な仕事を持った若者が移住して来る。新住民のネットワークでまた一人の若者がやって来る。一見、「人集めに苦労しない自治体」に見えるがまちづくりで努力を重ねて築き上げた所産だ。
写真の町だから随所にそれをイメージされた空間がある。写真甲子園もすっかり定着し、ホスピタリティ備わった住民も、建造物もいつでも、どこの角度から撮られても被写体として自然体で美的に納められることが求められる。町じゅうが美観的に奇麗で、店舗も木工の町をイメージし、それぞれ個性的な木製看板を付けている。「景観条例」も住民生活の中に浸透している。
見た目の美観の部分は完成度が高い。肝心のまちづくりではどうか。
まちづくりの根本は住民の大多数が満足すること。東川町では「教育と子育て」政策が町の重要政策だ。「教育と子育て」政策が先進的だから、住民の定住化につながるし、子育て世代にはそれが魅力的だから他地域から移住して来る。旭川空港まで約10分、旭川市までは約20分の至近距離という地の利もある。東川町は道内自治体の範となる1番バッターだ。

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