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特集記事

2022_10_27 | 11・12月号 2022年 ゆめさぽ 食の専門家リレー | , , , | 編集部イーハトーブ

北海道の食をリードし続ける秘訣とは?
北のスペシャリスト~食の専門家リレー【3】貫田 桂一 氏

食のスペシャリストを紹介する本コーナー。今回は、北海道の特産品開発で各地の事業者に助言やレシピ提供を行う第一人者・ヌキタ・ロフィスドの貫田桂一代表に登場いただき、北海道の食についてお話しを伺いました。そこで浮き彫りになったのは、大人も子供も食について学ぶことが豊かな生活に繋がる=食育の重要性です。本紙を手に取り、今このコラムをお読み頂いていることも学びだと思います。一緒に貫田さんのお話しを聞いてみましょう。

 

32才の若さでホテルクラビーサッポロの料理長に就任するなど、北海道を代表するシェフとしてマスコミに登場する一方で、北海道の特産品開発に対する専門家としても精力的に取り組んでいらっしゃいます。まずは、その原点がどこにあったのかお聞きしました。
まだ見習い料理人時代の35年前。輸入小麦の安全性に疑問を抱いた時、江別製粉株式会社が道産小麦を取り扱っていることを知り、電話を掛けたことから始まります。料理人の方でしたら、と送られてきた道産小麦「はるゆたか」に感動したことから、1990年に料理長に就任したホテルで全量を道産小麦に切り替える国内初の取り組みを開始し、その後も一貫して道産小麦のメニュー開発を行ってきました。
今から思うと、若手の見習い料理人であっても一人のプロとして扱い、道産小麦のサンプルを送ってくれた企業の心意気に、感謝と感動を覚えるといいます。

 

 

ヌキタ・ロフィスド貫田 桂一 代表 左のイラストを一部商品で目にする機会もあります

 

美味しい繋がりが広がっていく

優れた道産小麦との出合いは、新たな人との出会いにも繋がりました。
かねてより食の専門家を探し求めていた北海道庁から要請を受けて、1995年より北海道知域づくりアドバイザーに就任しました。また、2004年には北海道庁の別の部署から食育にかかる提言を求められ、提言書として提出したところ、その一部は現在の食育基本法に影響したとも言われます。
また、これらが契機になり、北海道教育大学の特任教授として食育講座を開講する一方、北海道教育委員会から委嘱を受けて、道内の小中学校へ出向いて食育授業も行っています。
まさに、「美味しい繋がり」が広がっていったイメージです。

 

人生を左右する食育授業

食育授業について、とても素敵なお話しをお聞きしました。
道内企業を訪問していたとき、若手社員から「中学校の時に貫田先生の授業を受けました!」とにこやかに話し掛けられたそうです。また、北海道遠別農業高等学校に通う生徒さんからは、「小学校の時に受けた貫田先生の授業で、食分野に進むことを決めました」と報告されたこともあるといいます。
たった数時間の授業でも人生の方向性を決定づけることに繋がります。食育の重要性を改めて認識できるお話しです。

 

大ヒットが続く秘訣

貫田氏監修の代表的な商品として、コープさっぽろトドック限定品「コロッケde北海道シリーズ」を挙げる人が多いです。最初の製品化から17年に及ぶロングセラーとして今でも売れ続けているのには理由があります。それは、レシピ提供する料理人と、食品メーカーの双方が、プロとしてコミュニケーションを深めながら開発およびブラッシュアップを続ける姿勢だといいます。
そんな貫田代表に、北海道の食の課題や未来への提言をお聞きしました。

 

食の継続性

例えば、タラバガニのように地元資源を食い尽くしつつある現状に対して、考える姿勢が大切といいます。海産物だからと海ばかり見ても足りず、森や畑から河川を通じて海に注がれる成分はどうか、資源回復や共存の道も一緒に考えることが挙げられます。また、カニ甲羅の有効成分を「美味しく食す」等、大地や海からの恵みを余すことなく食べるための知恵も大切といいます。
大人も子供も食育を高めることが北の大地を伸ばす鍵になりそうです。

(境 毅)

 

●ヌキタ・ロフィスド 

代表&フードディレクター 貫田桂一

 

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