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特集記事

2019_09_20 | 2019年 9・10月号 特集 | | 編集部イーハトーブ

「天下糖一プロジェクト」で砂糖の消費拡大を!

JAグループ北海道では、砂糖消費量の減少傾向を受け、砂糖に関する正しい知識を発信し、砂糖の消費拡大・イメージアップに取り組む「天下糖一プロジェクト」を発足しました。

減り続ける砂糖の消費量による弊害

砂糖の消費量は、平成28年度において初めて190万トンを割り込みました。平成元年から比較すると、2~3割程度の減少です。しかし、甘味の総需要量については、ほぼ横ばいで推移していることから、砂糖消費減少の最大の要因は、安価な加糖調製品や異性化糖、高甘味度人工甘味料の需要量増加と考えられます。
加糖調製品とは、砂糖に他の食品素材を加えたもので、原料として外国から輸入されています。砂糖よりも安価であるため、主に製菓、製パン、飲料メーカーなどで業務用として使用されています。
異性化糖は、でん粉から作られるぶどう糖と加糖の混合液です。

主にジュースなどの清涼飲料水に使用されます。原材料に「果糖ぶどう糖液糖」などと表記されており、今では異性化糖を使用していないジュースを探す方が難しいのが現状です。
高甘味度人工甘味料は、甘味度が砂糖の200~600倍もある人工的に合成して作った甘味料です。主に低カロリーを打ち出した商品に使用されています。人工甘味料は依存度が強く、ガンのリスクを高めるなどの研究もあります。
また、砂糖については、糖価調整制度によって海外から輸入される精製糖を事実上遮断し、原料である輸入粗糖(精製していない砂糖)と国産糖の内外価格差が調整されることで、砂糖の安定供給が図られています。近年、砂糖の消費量が減少していることから、粗糖の輸入量が減少、そこから徴収される調整金も減少しており、糖価調整制度の安定運営に支障をきたす懸念も出てきました。
さらに、精製糖企業などとの取り決めにより、砂糖消費の減少量に応じて、てん菜から精糖される白糖の数量が圧縮されることとなっていることから、精製糖企業の経営を圧迫し、間接的に生産者の所得にも影響を与えています。

このような現状において、砂糖の消費拡大に向けた生産者団体の取組みは急務です。JAグループ北海道では、生産者による拠出などを通じて財源を確保し、3ヵ年にわたって、砂糖の消費拡大を目指す
「天下糖一プロジェクト」を立ち上げたのです。

 

(左)星澤幸子氏 (右)JA北海道中央会会長 飛田稔章氏

 

3ヵ年かけた「天下糖一プロジェクト」が始動!

「天下糖一プロジェクト」の目標は、砂糖の年間消費量を200万トンまで回復させること。それを令和元年6月〜令和4年3月までの約3ヵ年間で行います。
手始めに7月下旬にオフィシャルサイトやTwitter公式アカウントを開設し、砂糖に対する誤解の払拭や正しい知識などを随時発信していきます。
また、著名人を起用したイメージアップ施策を展開。料理研究家の星澤幸子さんを起用し、料理番組などでのPR活動や北海道の大食い女王「アンジェラ佐藤」さんが「アンジェラ砂糖」に改名し、全国各地を食べまわり、砂糖と日本の食生活の関係を紹介するWEBムービーを制作、You Tubeで公開します。
さらに、高校生から砂糖の正しい知識を身に着けてもらうため出前授業や「ハイスクールパティシエロワイヤル2019」への特別協賛を通じて、次世代を担うパティシエへの支援を行い、影響力や実践力のある飲食のプロへの勉強会や料理教室を通じて、プロから砂糖の正しい知識や機能性などを一般消費者に発信していきます。
「砂糖の消費拡大の機運が高まってきたのはここ数年のことです。農林水産省が『ありが糖運動』を始めたリ、輸入砂糖を取り扱う精製糖企業も、シュガーチャージを提唱するようになりました。我々も何かしなければならないという機運が高まり、昨年1年間いろいろと議論を重ねてこのプロジェクトを立ち上げました」とこれまで関わってきたJA北海道中央会農政対策部主査脇坂勇亮さんは言います。
「砂糖をとることにより、肥満や虫歯や糖尿病になるという悪いイメージが世間に広がっています。それを払拭するためには正しい知識を広めなければなりません。そうすることによって砂糖の消費が少しでも増えていけばと思っています」

 

 

JA北海道中央会 脇坂 勇亮 氏

 

1年目の目標は「理解糖一」

今年度の目標は「理解糖一」。
まずは、砂糖に対する正しい認識を共有し、砂糖の劣勢をくつがえす、確かな土台をつくる年を目指します。

 

JA北海道中央会

札幌市中央区北4条西1丁目1番地北農ビル10階

TEL: 011・232・6447

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