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特集記事

2019_01_22 | 1・2月号 2019年 GAP認証農場を訪ねて イーハトーブ 連載 | | 編集部イーハトーブ

– GAP認証農場を訪ねてSeries1 –
イーハトーヴ×ゆめさぽ Collabo‐Campaign

GAPって何だろう? 食の安全は食品に関わるあらゆる産業界に求められる必須条件。農業界でも今、農産物の安全基準ともいうべき「GAP認証」へ向けた動きが見られる。そこでGAP取得を考慮中の生産者のために、GAP認証を受けることでどんな効果があるのか、取得した生産者を取材してみた。このシリーズは今後、農業支援で奮戦する「ゆめ・きた・さぽーと」と共同で取材を進める。

JGAPで働く環境を整備アンビシャスファーム㈱

江別市に所在するアンビシャスファームはまだ設立5年の若い農業生産法人。代表の柏村さんも山口県出身で酪農大出の、まさにアンビシャスを地でいく好青年だ。

「JGAP」は2017年12月に取得。その取得理由がなかなかユニークだ。「社員が働きやすい職場環境にしたかった」「GAPの内容に沿って徐々に社内体制を整えたい」。家族経営の農場だったが、整備された法人経営に脱皮するための手段としてGAPを活用した。
もともと付加価値が付くという目的を持っていないから、GAP取得で価格面に反映されるという期待はしていない。ただ、流通業界では野菜だけを見て判断しないで、「食品の安全対策、環境への配慮、働く人の労務管理をしっかりやっている農家だと見てもらえる」といった利点を強調する。時代の流れとして、GAPは取引する条件になりつつあることは確かだ。柏村さんは「取得して良かったし、更新したい」と語る。野菜の品目は70種類、うち60品目がGAP認証だ。
「ふたりのマルシェ」もなかなかの人気だ。従業員でもある柏村さんの奥さんと、飛び込み志願で入社した女性従業員が担当する。全体に占める売り上げは小さくても、消費者ニーズをここでしっかり吸収して作付けに反映する、それでいいと考える。現在社員は6名、来春に2名入社予定だ。農場ドラマは続く。

 

代表取締役 柏村 章夫さん

 

百年農家の飽くなき挑戦㈲グリーン坂東/北海道アグリ企画㈱

坂東さんは札幌市東区丘珠と江別市角山の2つの農場で、札幌黄を中心に馬鈴薯、スイートコーンなど多品種を生産している。丘珠地区は明治に坂東家の初代が入植し開墾、坂東さんはそれから数えて五代目、いわば百年農家だ。26歳になる長男は現在社業の一翼を担いつつ、ゆくゆくは坂東家の六代目となる。
農場を運営する㈲グリーン坂東と、自社・他社問わず有機JAS農産物の集荷と販売を手掛ける北海道アグリ企画㈱の2本立てで事業を営んでいる。また、飲食店向けに札幌黄の一次加工を手掛けているが、将来「HACCP」(ハサップ)取得を視野に入れる。

「JGAP」は2009年に道内12番目に認証を取ったものの早い組で現在も継続中は二軒の生産者のみ。「価格的に考慮されないなど認証をとってもあまりメリットがない。更新するたびに提出書類が増える」と坂東さんは笑いながら語る。昨年10月に「JGAP」よりも難易度があがる「ASIAGAP」に切り替えた。将来のアジア圏へ農産物輸出を思い描いての措置だ。
札幌の農業がどんどん減っていく現状を嘆きつつも、伝統野菜「札幌黄」を守ることにはどこまでもどん欲だ。札幌黄の播種から直播による栽培、それが丘珠に根を張る坂東家の流儀だ。

 

代表取締役 坂東 達雄さん

2019_01_22 | 1・2月号 2019年 GAP認証農場を訪ねて イーハトーブ 連載 |