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特集記事

2020_11_15 | 11・12月号 2020年 明日への挑戦 連載 | | 編集部イーハトーブ

明日への挑戦 – JAさらべつ
主に豆類・小麦・馬鈴しょ・てん菜の畑作4品を中心に、スマート農業の実証実験も積極的に行っています

十勝南西部に位置する豊かな自然に恵まれた更別村をエリアとする同JAでは、主に豆類・小麦・馬鈴しょ・てん菜の畑作4品を中心に、スマート農業にも役場と一緒に、積極的に取り組んでいます。GPSを含めて、トラクタの自動操舵運転も管内では一番早く導入。今年は無人トラクタの実証実験も行いました。

畑作で販売高の75%を占める

豆類に関しては、かつて「青えんどう豆の更別」として世界に名前が知れ渡っていましたが、今はいんげん豆、大豆、小豆が中心です。令和元年度の作付面積は2317㌶、販売高は約28億円となっています。中でも、いんげん豆の作付面積、収穫量は全道1位となっています。
小麦に関しては、きたほなみという品種を中心として、令和元年度の作付面積は1908㌶、販売高は約20億円となっています。収穫された小麦は、主にうどん、ラーメンなどの麺類の原料になります。
馬鈴しょに関しては、メークインや男しゃくなどの食用、トヨシロなどの加工用、コナフブキなどのでん粉加工用の用途に分かれますが、令和元年度の作付面積は1964㌶、販売高は約29億円で、同JAではトップの販売高を誇ります。
てん菜は、冷害や風害に強い寒冷地作物として欠かせない作物です。令和元年度の作付面積は1872㌶、販売高は約25億円。収穫されたてん菜は、大型トラックで製糖工場に運搬され、ビート糖などの製品になります。
「馬鈴しょに関しては、JA士幌町では周辺のJAから馬鈴しょを集めて大量に安価に販売していますが、我々のJAではそれはできない。あえて少量生産にこだわり、希少価値を高めて販売して、利益率を高めています。また、てん菜に関しては、昨年から3年間にわたり、砂糖の消費拡大キャンペーンを行っていますが、今回のコロナ禍により、砂糖の消費がさらに減退していることが気がかりなところです」と若園則明組合長は言います。

 

更別村農業協同組合代表理事組合長 若園 則明 さん

 

販売高の25%は酪農畜産

そして、販売高の25%は酪農畜産が占めます。
搾乳牛や黒毛和牛は、更別村の西から南地方で多く飼養されています。令和元年度の搾乳牛は飼養戸数は37戸、飼養頭数は4588頭、1戸当たりの飼養頭数は約124頭で、年々増えて大規模経営化が進んでいます。
黒毛和牛の飼養頭数は1446頭で、導入が進められ、飼養頭数は年々増加しています。販売高は約38億円となっています。
「酪農畜産にもコロナ禍の影響が出ています。毎年PRを兼ねたイベントを開催していましたが今年は中止となり、これらの消費に大きな影響を与えています。豆・小麦・馬鈴しょ・てん菜による4輪作が定着して、ほ場も広いので、収益性の高い野菜などの生産にはなかなか手が回らない。だからこそ、スマート農業の導入を積極的に進めています」

 

JAさらべつ

 

将来の気候変動を危惧

「私が営農を始めた頃は、寒さのために小豆も3年に1回は収穫できない時があった。この頃は温度が上がり、安定的に小豆が収穫できるようになりました。逆に、豆類は9月に長雨が続くようになり、色流れを起こすようになってきました。平均積算温度を見ると1日の温度は確実に高くなっているはずです。50年後、100年後を考えると、気候の変化に合わせた作物の生産が必要になってくる。そのことを真剣に考えていかなければ、十勝の農業も安泰ではないと思うのです」と若園組合長は将来に警鐘を鳴らします。

 

JAさらべつ

更別村字更別南2線92番地

0155・52・2377

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