今年も家庭菜園シーズンがやってきました。今回は有機質肥料の種類と効果について解説します。
渡辺農事㈱ 安達 英人 さん
化学肥料だけを使い続けると土の力が無くなってしまいますので、堆肥を入れたり有機質肥料を使うようになりました。有機質肥料にはじっくり効く肥料養分や微量要素、アミノ酸などが含まれていて、土壌微生物を増やすので、土づくりになります。
有機質肥料は土の中で微生物の働きによって分解されます。主にたんぱく質に含まれるチッ素成分はアンモニアを経て、最後は硝酸となり吸収されます。この変化は有機質の成分によって異なり、効き目の早さの違いになりますので、いくつかの種類を組み合わせて使うのがいいでしょう。
①油かす
なたねや大豆から油を搾り取ったかすを原料にしています。大豆かすは有機質肥料の中では効き目が早い方です。なたね油かすは施用直後には発芽不良になるのでたねまきは2週間以後とします。発酵油かすで固形状になった商品が使いやすいでしょう。
左から骨粉、鶏ふん、牛ふん
②鶏フン
発酵させたものが商品化されており、効き目も比較的早く、使いやすいですが、臭いがあるのでタネバエが寄りやすく、施用後2週間後にたねまきとします。
③牛フン
肥料分は少ないので土壌改良資材として使われています。おがくずやバークを使ったものは分解が非常に遅く、土の物理性の改善にもなります。
④魚かす
生魚を煮て、油と水分を搾ったもので、効き目は比較的早く、肥料分が流亡しにくい特徴があります。果樹では味をよくするとしてよく使われています。多用すると生育が悪くなるので、施用基準を守りましょう。また、鳥や動物が食べるので、地表面に出ないように施用します。
⑤骨粉
動物の骨を砕いて加熱・高圧処理をした蒸製骨粉が販売されています。1ヵ月以上かかってじっくり効くリン酸肥料です。他の有機質肥料よりは高価な肥料です。
草木灰
⑥草木灰
植物を燃やした灰が原料で、アルカリ性なのでPHの調整にもなります。微量要素を含むので、果菜類の味が良くなるといわれます。カリ含量が少ない、油かす、魚かす、鶏フンと組み合わせて使うとよいでしょう。硫安や過リン酸石灰とは一緒に使えません。
⑦米ぬか
販売されているのは脱脂米ぬかで油を搾ったかすを粉末や顆粒にしたものです。3要素を含み、土壌微生物を活性化させる効果があります。生米ぬかは脂肪分が多いため非常に分解が遅く、土の中で塊になりやすいので、直接土に入れないほうがいいでしょう。主にぼかし肥料の原料として使います。
ぼかし肥料
⑧ぼかし肥料
有機質肥料に土やもみがらを混ぜて発酵させて作る肥料で、すでに発酵させているので有機質肥料よりは効き目が早く表れます。基肥に使います。有機100%配合肥料と表示があっても、商品によって製造方法や肥料成分が異なるので、施用量に注意します。
〈寄稿〉
渡辺農事㈱北海道営業所
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