今回ご登場いただくのは、中標津町農業協同組合の青年部長・佐藤克幸さん。道内では数少ない、畑作も同時に手がける酪農家です。野菜作りの可能性も追求しながら、やはり好きな酪農を続けていきたいという佐藤さんに、中標津の酪農の最新事情について聞きました。
土の上歩かせストレス減
佐藤さんは、中標津町武佐地区で畑作と酪農の複合経営を行う「佐藤農場」の跡取りです。酪農の耕地面積は25haですが、畑作を入れると倍の50ha。牧場はつなぎ飼いで、放牧ではありませんが、昼と夜には、牛が自由に寝そべられるフリーバーンに放すやり方を採用しています。
「牛の健康には特に気を遣っていて、少しでもストレスなく育ててあげたいですね。つなぎだけではなく、土の上を自由に歩かせているので、うちでは牛の爪を切ったことがないんです。餌は、TMR(混合飼料)ではなく乾乳時期にロール(牧草をロール状に巻いて発酵させたもの)を与えたりしています。畑作と兼業ですと34頭で満床ですが、この規模だから牛の乳量と健康状態を見ながら個別に給餌することができるんです。もちろん自分で、一輪車を使って配ってますよ」
頭数は増やしたいけれど
趣味は釣り。高校のときには、大阪にある専門の学校に行き、釣りを仕事にしようと思っていたそうです。でも、中学くらいから酪農の仕事を手伝うようになって、牛がいる生活が当たり前になっていたところに、「父が仕事を継げとか全然言わない人で、逆に『仕事は何をやってもいいぞ』と言われてしまって……」。気がつけば今年で就業14年目になるそうです。今でも趣味の釣りは続けていて、釣り仲間も大勢いらっしゃるそうです。
佐藤農場の元気な牛たち
佐藤農場では、ジャガイモ、大根、ブロッコリー、小麦を作っていて、特にジャガイモは収量も価格も安定。牛を増やしたい希望はあるそうですが、牛舎の建て替えを考えると、畑作との兼業が難しくなるのだそうです。
「畑作一本でやっていく道もあるんですが、やはり自分としては酪農をやりたい。牛は、手をかければかけただけ応えてくれますからね」
ジャガイモの収穫
プロフィール
31歳。飼養頭数50頭(うち経産牛30頭)。年間出荷乳量約200t。耕地面積約25ha。