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特集記事

2018_03_24 | 2018年 3・4月号 | | 編集部イーハトーブ

冷凍食品が日本の食卓を変える
㈱ニチレイフーズ北海道支社長 片岡 恵美さんに聞きました

冷凍食品(冷食)が進化し、その存在感が増しています。最近の冷食はとても美味しくなったと実感されている消費者も多いのではないでしょうか。その要因はどこにあるのでしょうか。そして、将来において冷食は日本の食卓をどのように変えていくのでしょうか。国内最大手の㈱ニチレイフーズ北海道支社長の片岡恵美さんにお聞きしました。

冷凍食品の現状は

平成28年度の国内における冷食の生産量は、約155万トンで過去最高になり、売上は6871億円でした。この業界も自動車業界と同じように、中国やベトナム、タイなどを中心に海外への進出が活発で、海外を合わせるとその市場規模は1兆円ともいわれるまで拡大しています。
冷食には、業務用と家庭用があり、比率はだいたい6対4といわれています。
「当社では、業務用はスーパーなどの惣菜売場、ファミリーレストランや居酒屋などの外食、学校給食や福祉・事業所給食にも供給しています。近頃では、調理する人手の不足が深刻化する中でも、お客様に幅広い種類のメニューを提供するために、ホテルの朝食バイキングなどにも冷食が使われるようになってきています」と話す片岡さん。冷食の広がりを実感しています。

 

(株)ニチレイフーズ北海道支社長  片岡 恵美さん

 

「再現力」の強化を

人口減少の時代になぜ冷食は伸びているのでしょうか。
要因の一つに、これまで冷食にできなかった商品ができるようになったことがあります。その結果、これまでのように生鮮品を買い、自分で調理することを止め、冷食に切り替える消費者が増えました。これは社会環境やライフスタイルの変化に合わせた調理方法・規格・使い勝手の進化に対応した冷食の種類が増えたという事です。
そして、もう一つの要因は、技術が進化し、味が美味しくなったことです。
「調理した味と同じ味を再現する。当社に限らず各社は、この“再現力”を大事にしています。冷食の棚を見ていただければわかりますが、有名なシェフが監修した商品がたくさん並んでいます。当社もいち早く有名なシェフとタッグを組んでやっています。そのシェフが作った味をいかにして再現するか。その味やこだわりをどのようにして冷食に取り入れていくか。昔は凍らせて長期保存することが目的でした。現在は美味しくなければ買っていただけないし、冷食としての価値を認めてはくれません。だから、各社が再現力に一番重点を置き、日々研究開発をしているわけです」
例えば、炒飯であれば、美味しい中華料理店に行き、そこのシェフがどのように炒飯を作っているのかを調べ、それを科学的に分析します。あおる時のフライパンの周りの温度はどれくらいか。フライパンの中の温度はどれくらいか。それを科学的に測定して数値を出し、それを生産工場のラインに落とし込みます。

「そのような作業を経て作られたのが、当社の『本格炒め炒飯』です。冷食炒飯では16年連続で売上№1を誇る大ヒット商品になりました。お店で食べるようなパラパラした美味しい炒飯はそのようにして誕生し、今ではお客様から『自分で炒飯を作るより美味しい』との声もいただいています」

 

大人気の「本格妙め炒飯 」

 

冷食にも道産へのこだわりを

炒飯を含めて、いわゆる米飯が同社の一番の強みです。さらに、家庭用冷食の炒飯と焼きおにぎりは、北海道産のお米を使用しています。そのような経緯もあり、北海道支社では米飯商品の販売には特に力を入れています。

中でも、昨年リニューアルした「本格焼おにぎり」という商品は、ゆめぴりかを100%使っています。ご存知のようにゆめぴりかは粘りがあるため、おにぎりには向かず、流通の関係者からも『それは無理』と言われていました。だから、この商品を開発するにはかなり高いハードルがあったようです。
「ゆめぴりかにこだわったのは、北海道№1の美味しいお米だったからです。それを使用することは、他社との差別化にもなります。そして、昨年から販売を始め、流通の関係者からは、『美味しい』『凄いね』と言っていただいています」

 

ゆめびりか100%の「本格焼おにぎり」

 

冷食の素晴らしさを発信

一方、これからは業界を挙げて、冷食の良さを発信していく必要があります。例えば、生鮮の野菜を買って、冷蔵庫で保存しても栄養価はどんどん下がっていきます。しかし、冷凍の野菜は、収穫して、すぐに茹でて、急速冷凍するので、栄養価の減り方が緩やかです。美味しさと栄養価を長く保つことができ、なおかつ、保存料は使わなくてすみます。今は野菜が高騰しているので、冷凍の野菜が凄く売れています。
また、朝が忙しい人の朝食を冷食にして、夕食は生鮮品を使って作るとか、いろいろな場面での活用方法があります。このように時短をして、自分の時間を作り、趣味に活用したりして、消費者のライフスタイルになくてはならないものになっていくはずです。

 

冷凍食品が日本の食卓を交える

 

「ブロッコリーをとってみても、冷食の方は食べない部分をあらかじめ取り除いているので、重量からみれば安上がりになっているはずです。また、旬の時期に収穫するので、安定した価格で提供できます。しかし、残念ながら、そのようなことはあまり知られてはいません。まずは一度冷食を買っていただき、その良さを知っていただければと思います」

 

●㈱ニチレイフーズ 北海道支社

札幌市北区北7条西1丁目2NCO札幌5階

2018_03_24 | 2018年 3・4月号 |