昨年の菜園のできはいかがでしたか?『春に植えたキュウリが枯れた』『ナスが大きくならない』『9月にはトマトの葉が無くなった』など生育不良が聞かれました。
畑を片付けるときにも、根張が悪いので簡単に抜けるようでした。ここでは原因と対策を考えていきます。
渡辺農事㈱ 安達 英人 さん
4~6月の天候(道央)
昨年は雪解けが早く、4月下旬から5月にかけては降水量が少なく、畑の準備やジャガイモの植え付けなどは順調にすすみました。6月4日には30℃にもなりましたが、8日の30㎜近い降雨以降は曇天・低温が続きました。下旬にはやや回復しましたが7月上旬には100㎜の降水がありました。
特にキュウリは10℃で生育が止まり、根の酸素要求度が高いので、6月の雨と低温の影響が大きかったと思われます。
◆対策は
●雨で湿害を受けるような水はけの悪い畑では畦を20㎝と高くしてマルチを張って栽培します。高畦は地温が上がりやすく、根が高い位置にあるので畝間に水が溜まっても湿害になりにくいのです。
●低温でも根の生育が旺盛な接ぎ木苗を使用します。接ぎ木苗とは地上部がキュウリで地下部がカボチャの苗です。根張りが良く低温にも強く、成り疲れも少ないのでお勧めです。自根苗は9㎝ポットで100円くらいですが、接ぎ木苗は12㎝ポットで400円くらいしますが、確実に長い間収穫できるのでお勧めです。
●例年より温度が低いと感じたら、しっかり保温しましょう。マルチや風よけは標準装備ですが、低温時にはキャップやトンネルなどで地温が下がらないようにします。
7~8月の天候
7月11・12日に降雨がありましたが、以降は高温となり、中下旬には降雨がなく、畑は乾いていました。8月に入るとやや低温が続き、お盆前後は30㎜以上の降雨が続き、畑が乾きませんでした。秋ダイコンの種まきやハクサイの定植などが遅れましたが、9月中旬から1ヶ月間は降雨も少なく温暖な天候でした。
充分な根張でないキュウリにとっては7月下旬の高温がストレスになりましたが、ナスやピーマンは生育が回復しました。畑が乾いているうちはトマトは生育や味が良かったのですが、降雨が続くと葉の裏にカビが発生し、日照不足もあって下からの葉の脱落が目立ちました。
降雨後にはダイコンやニンジンの割れ、腐敗が発生しました。特に9月の台風では葉が飛ばされたり、果菜類の支柱やネットが倒れるという被害が多くみられました。合掌式の支柱は風には強いのですが、陰になっているところに日が当たりにくく、通風も悪いのでカビが発生しやすい欠点があります。
ポリハウス(スイカ)
◆対策は
●果菜類の支柱は1本立てで頑丈にします。簡易な雨よけハウスを使うと、果実や葉に直接雨が当たりません。ナスやピーマンは枝が水平になると生育が劣り、着果しませんので上方に誘引します。
●こまめに生育をみて追肥やかん水を行います。トマトは土が乾いていたほうが甘くなりますが、過度にかん水を行わないと、勢いが衰え、上の段の花数も減ってしまいますし、尻腐れも発生します。発根促進剤や液体肥料を葉面散布するのも有効です。
6月12~14日には家の暖房を入れた方もいらしたでしょう。自分が寒いと思ったら外の野菜たちも寒いので、いつも通りの管理ではなく、野菜の特性に合わせてしっかり保温してあげましょう。
気温表:気象庁HPより
渡辺農事㈱北海道営業所
http//www.watanabenoji.com
E-mail: dachi@watanabenoji.com
FAX: 011・577・3231