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特集記事

2019_07_24 | 2019年 7・8月号 特集 | , , | 編集部イーハトーブ

実りの秋に向けて、「今金米」の栽培が始まりました

5月中旬、今金町も田植えの時期を迎えました。JA今金町で稲作部会の会長をしている吉本辰也さんの40㌶もある広大な田んぼでも
本格的な作業が始まりました。田植えから収穫まで、「今金米」の1年を追いかけます。

「今金米」が美味しい3つの理由

消費者から確固たる評価を受けている「今金米」。その美味しさには3つの理由があります。
その1つ目は、清流「後志利別川」の澄んだ水です。この流域は土が肥えていて、桧山管内随一の穀倉地帯が広がっています。また、明治10年代、上流では砂金がよく採れ、黄金色に賑わった時期もあります。「今金米」は、この天恵の水をたっぷり吸って育ちます。
2つ目は、美味しいお米を作るため、ひたむきで頑固な農家のこだわりです。JA今金町は、そんな彼らの意気込みを大切にするため、「27号倉庫」を用意しています。196を超える小部屋を持つ大きな機動式ラックを18本備えた27号倉庫。農家一人一人のこだわりのお米がぎっしり詰まっている十人十色の米分庫には、消費者の気に入るお米がきっとあるはずです。
そして、3つ目は、農家の謙虚さと誇りです。農家たちがよく口にする台詞に「農家は毎年一年生」というのがあります。仕事の結果を真摯に受け止め反省する謙虚さと、米職人としての誇りを大切にしています。

 

長い米作りの歴史を誇りに

今金町の米作りの歴史は、明治29年(1896年)に遡ります。町内の神丘地区で初めて水稲が試作されました。明治41年(1908年)には、稲作を町内全域で試みました。大正中期には、田代地区の佐藤万太郎さんが「万太郎米」を育成し、北海道稲作の創始者としてその功績は讃えられています。そして、平成17年(2005年)には、水稲を始めて1世紀を迎え、道南一の水稲地帯として今日まで継承されています。

 

(左)吉本辰也さん (右)妻の栄理子さん

 

5月中旬、田植えの時期を迎えます

5月17日(金)、快晴の下、稲作部会の会長でもある吉本辰也さんの田植え作業を取材させていただきました。開拓農家の5代目である吉本さんの田んぼの面積は約40㌶。町内でも1,2位を争う広さです。5㌶を直播の「大地の星」を栽培しています。「大地の星」は、極耐冷性・耐病性に優れた品種で、冷凍ピラフなどの加工品で活躍しています。残りの35㌶で「ゆめぴりか」と「ふっくりんこ」を栽培しています。
「今年の田植えの時期は平年並みで14日から始めました。5月いっぱいで終える予定で作業を進めています」と吉本辰也さん。
昨年、吉本さんのお米の美味しを証明する2つの出来事がありました。「新嘗祭」への献上米となったことと、毎年蘭越町で開催されている「米-1グランプリ」で準グランプリを受賞したことです。
「新嘗祭」は、五穀豊穣を感謝する宮中祭祀で11月23日に行われます。道内から毎年2戸の農家が選ばれてお米を献上していて、昨年は初めて今金町が選ばれ、吉本さんの「ふっくりんこ」が献上されました。
また、「米-1グランプリ」には、開催時から出品していて、昨年、「ゆめぴりか」で準グランプリを受賞しました。一方、毎年1月10日の十日えびすには、西宮神社の「福男選び」行われますが、この2番福の人には「今金米」が贈呈されていまます。このような事からも「今金米」のブランドとしての高さをうかがい知ることができるはずです。

 

「27号倉庫」
お米にストレスをかけないで個別の部屋で管理。全部で約3600の部屋があります

 

田植え後、細心の注意を払い収穫の時期を迎えます

田植えを終えると、田んぼ周辺の草刈りや病害虫の発生予察に全神経を傾け、余分な農薬散布の回数を減らし、安全・安心な米作りに努力していきます。
病害虫の発生予察には、農家自ら捕虫網を振り、田んぼの周りを歩きます。また、やませの時には水を張り、日が照れば水を落とします。このような毎日の地道な作業を怠らないのは、消費者に安心して食べていただくための、農家の心意気でもあります。
「昨年は天候不順により自慢のお米の数量が少なかった。今年はそのようなことが無いように、たくさんの方々に今金米を食べていただけるよう願っています」と吉本辰也さん。
5月には新しい貯蔵施設も完成。そして、9月には待ちに待った収穫の時期を迎えます。

 

田植え作業のようす

 

新しい貯蔵施設

 

JA今金町

瀬棚郡今金町字今金141番地

TEL: 0137・82・0211

 

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