北海道農業にとって最大の功労者の一人・米国人の畜産農業家エドウィン・ダンは、1873年7月9日に100頭のめん羊を連れて来日しました。例年、この日を記念してイーハトーヴ7月号では、特集「紙上めん羊まつり」を掲載しています。近年、道内では、最高級ラム肉がとれるサフォーク羊の飼養頭数を増やしています。
着実に頭数増やす滝川産サフォーク羊
北海道の味付きジンギスカンを代表する㈱マツオでは、2016年から滝川市内の「松尾めん羊牧場」でサフォーク羊の飼養に取り組んでいます。
サフォークは、肉用種の羊としては最高級とされていますが、日本での生産量は非常に少なく、ジンギスカン発祥の地である道内でも、なかなか味わえないほど貴重かつ高価でした。
「松尾めん羊牧場」での飼養頭数は、昨年は合計で約160頭でしたが、今年は6月初旬現在で親子合わせて約190頭。生まれた仔羊は1年未満で出荷するため、頭数は変動的ですが、着実に増えてきています。
羊は飼育が難しく、1頭の親が1度に1~2頭しか出産しないため、数を増やしにくい動物です。寒さには非常に強い動物ですが、暑さには極端に弱く、北海道でも夏に猛暑となる日が増えてきた昨今、飼養環境には神経を使います。
同牧場の仔羊は、乾草と、地元滝川産の米や小麦などを使った自家配合飼料で肥育します。羊肉独特のクセやにおいが少なく、脂が甘く、肉質が柔らかいため、高い評価を受けています。
滝川市丸加高原でのびのびと放牧されるサフォーク羊。防疫管理のため一般公開はしていません
毎年1月はサフォーク羊のベビーラッシュです
開始5分で完売した松尾めん羊牧場産のラム肉
昨年12月、同社は初めて公式オンラインショップで4頭分の滝川産サフォークラムを発売しました。人気のある部位は開始後2分、ほかの部位も5分でほぼ完売という驚異的な売れ行きでした。
今年は数量を増やし、夏と年末の2回、特に、ラムとマトンの中間にあたるホゲットという非常に希少な肉もオンライン販売する予定で、完売は必至と見られています。
滝川産サフォークラムは、北海道物産展に出荷されている量が多く、松尾ジンギスカン各店舗で提供するにはまだ品不足という状況です。
昨春、滝川本店限定のメニュー第1弾として、「ラムバーグランチ」が登場しました。ハンバーグにはサフォーク羊のさまざまな部位が使えるために実現したメニューで、1日20食限定です。
「松尾めん羊牧場」では、オスは草を食べさせると特有のにおいが強くなるので放牧を避け、逆にクセのないメスは出荷前に放牧して仕上げています。今後も極力、親となるメスを残し、ラムとホゲットを安定供給できるよう体制づくりを進めていく方針です。
元気に育った仔羊たち。人なつこく好奇心旺盛です