渡辺農事㈱ 安達 英人 さん
機能性植物として注目されている『ヤーコン』は40年くらい前に導入されて、菜園でも無農薬で栽培できます。
南米原産でインカ帝国の時代から果物のような野菜として利用されてきました。最近では根の乾燥粉末や、葉を使った『ヤーコン茶』なども販売されています。1株から3本くらいの太い茎がでて、草丈は150㎝以上になります。葉は三角形の矢じり型で20㎝以上の大葉になります。
「ヤーコン樹」(9月上旬):高さ150-200cmになる
栽培のポイント
土質は特に選びませんが排水不良地や乾燥地は避けます。pHは6.0程度でよく、酸性土壌では石灰を施用します。施肥は元肥で窒素15g、燐酸15g、カリ15g(\㎡)を施用し、有機肥料を組み合わせると生育がよくなります。
定植期は遅霜の心配のなくなった5月下旬が良く、遅くとも6月上旬には終えます。条間は100㎝、株間は50㎝、2株\㎡を標準とし、畝は収穫を考えて高畝として、グリーンか黒マルチをします。
苗は購入して定植は果菜類苗と同様に行い、適宜かん水を行います。
◆管理
追肥は生育を見て8月頃に窒素・カリを各2g\㎡程度施します。アブラムシ、ヨトウムシが発生することがあります。
◆収穫・保存
収穫は10月中下旬に行ない、根は茎葉が枯れるまで肥大するので収穫が遅れるとひび割れが多くなります。根は表層の30㎝程度のところにあるので、畝の土を崩して収穫します。
掘りあげたイモは皮が薄いので丁寧に扱い、冷暗所で3週間程度追熟させます。追熟が進み皮色がサツマイモのようになったら食べごろです。
1株から3~4㎏の塊根が収穫できます。貯蔵には温度5℃が適し、3~4ヶ月程度できます。
「ヤーコンいも」:左が掘りたてで、右が3週間たったもの。
食べ頃の肉色は黄色~白色
◆食べ方
食用にする根の部分は、収穫直後は甘みはありませんが、追熟させるとなしのような甘みとレンコンのような食感が楽しめます。全体にすこし苦味があり、切ると変色するので水にさらしてから利用します。皮を剥き、シャキシャキした食感を活かしてサラダや炒め物にします。煮物や揚げ物にするとレンコンのようにほくほく感が楽しめます。
フラクトオリゴ糖は皮層部に多いので小根は甘みが強く感じられます。焼く、蒸す調理法には適しません。
「ヤーコン収穫1株」:大小6~10本つく
栄養素
フラクトオリゴ糖は分解されにくく、大腸内で善玉菌を増やし、悪玉菌を減らす整腸作用があり、ダイエットに効果があります。ほかにも、コレステロール、中性脂肪、血糖値、血圧を下げる効果があり、タマネギの3倍量含んでいます。ポリフェノールの一種のクロロゲン酸を赤ワインと同程度量含んでいて、抗酸化作用により発がん予防や老化防止に役立ちます。
でんぷんが含まれていないのでカロリーはサツマイモの半分以下で、食べ過ぎあるいは体質・体調によりおなかがゆるくなることがあるので注意します。食物繊維も豊富でサツマイモと同程度含んでいます。
〈寄稿〉
渡辺農事㈱北海道営業所
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