今回は「農薬を使用しない病虫害対策」について紹介します。
病害対策
病原菌にはカビ、バクテリア、ウイルスがありますが、いつでも植物の中に入ってくるわけではありません。空気中に漂うカビは野菜の抵抗力が下がったときに増殖します。
◆健康に育てる
・野菜の種類にあった温度にして水分や肥料を与え健康に育てることが第一です。無理な早植えや早まきをしないで、適期作業を心がけ、地域のまき時期や植える時期を守りましょう。
・チッソ肥料のやりすぎも病気にかかりやすくなりますので、元肥を控えめにして、追肥で調節します。
ナスの半身萎凋病
◆風通しをよくする
・トマトやキュウリなどは株間を狭く植えると、葉が重なり風通しが悪くなり湿度が高くなると葉カビ病などが発生しやすくなります。
◆土づくり、排水対策を
・近年は一度に多量の降雨があるので畑に水が堪らないように排水対策を十分にしておきます。過湿状態が続くと根が傷み、樹の勢いが劣り、病気になりやすくなります。土に力をつけておくことで野菜の根を広くしっかり張らせます。
◆樹の勢いを保つ
・キュウリは一度に多く着果させると、成り疲れとなり、その後うどんこ病にかかりやすくなりますので適宜、整枝して着果数を制限します。
・カボチャも第一果の肥大が始まるころ(8月上旬)から下葉にうどんこ病が発生します。込んだ枝を切り、追肥・かん水を行います。
◆畑を清潔に保つ
雑草や病害株は除去して、秋には深く耕しておきます。連作すると肥料分の過不足や病気の発生が目立ちますので、なるべくは避けてください。病気の付いた葉などをコンポストにするのは止めましょう。
◆接ぎ木苗や病気に強い品種を
トマトやナスが生育途中で枯れるのは土の中の病原菌に罹病したものです。接ぎ木苗は病気に強い台木に接いであるので果菜類では有効です。根こぶ病に強いハクサイやカブ、葉かび病に強いトマトなど、病気に強い品種を選びましょう。
虫害対策
◆資材の利用
シルバーマルチや銀色テープはアブラムシ除けの効果があります。アブラナ科野菜には青虫がつくので播種や定植後には防虫ネットでトンネルをします。小松菜はトンネルをかけたままで栽培できます。防虫ネットの編み目の大きさは0.6~0.8mmが有効です。春先は保温も兼ねてべたがけを、夏はムレない防虫ネットを使います。
トンネルのすそが空いていると虫が入って来てかえって被害が大きくなります。粘着シートをつるしておくのも効果的です。
アブラムシは栄養状態が悪くなるとハネがはえ(6月頃)、植物に飛んでいきます。アブラムシの好きな色は黄色や黄緑色で柔らかく吸汁しやすい葉の色に反応して飛来します。(キラキラする光は嫌いです)
シルバーマルチダイコン
べたがけ栽培ダイコン
◆雑草を減らす
雑草の中で害虫が増殖することがありますので、こまめに除草したり除草シートを利用して省力するのもいいでしょう。
なにより、よく観察して早めに対処することが大切です。
防虫ネット
渡辺農事㈱ 安達 英人 さん
渡辺農事㈱北海道営業所
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2020_01_16 | 1・2月号 2020年 家庭菜園を楽しもう! 連載 | 育てる