今回はプランターでの栽培を紹介します。畑がなくても、ベランダや玄関先でも菜園を楽しむことができます。
渡辺農事㈱ 安達 英人 さん
『準備』
プランターや鉢、用土は市販のものを買い求めます。鉢の代わりに、プラコップやイチゴのパックなどでも代用できます。
用土は病害虫のないもので、軽いものがよいでしょう。庭の土では固まりやすかったり、虫が発生したりするので、注意します。長さ60 cmくらいのものが標準プランターで、用土は15リットル程度必要です。
『栽培時期』
屋外の場合は通常の菜園と同じように種まきや定植を行います。プランターの置く場所は『強い日差しが長くあたるところ』にしますが、風が当たったり温度が低い時はポリで囲います。
室内で栽培する場合も『日当たり』が重要です。室内は窓際が日当たりが良いですが、ガラス越しの日差しは強くはありません。
リーフレタスは屋外で栽培したプランターを室内に取り込めば年内は葉を摘み取って楽しむことができます。
「寄せ植え」:春に苗を買って、大鉢に植え付ける。秋には室内に入れるが、害虫が付いていないか気を付けます。
野菜の組み合わせはセロリ、ミツバ、赤しそ、パセリなど
『冬期間のプランター栽培』
室内では日照量が少ないので夏場のような野菜はできませんが、まず、ベビーリーフのようなサラダ素材の栽培をしましょう。栽培が簡単なものはリーフレタス、ルッコラ、春菊、パセリ、ハーブ類です。年明けからは日照も多くなるので、小松菜、ほうれん草、ミニチンゲンサイなども栽培できます。
まず、プランターの底に鉢底石や発泡スチロールを入れ、土を八分目まで入れます。深さ2cmの溝を作り、1cm間隔でタネを播き、土をかぶせて、たっぷりとかん水します。(底にトレイを置きます)発芽が揃ったら二回に分けて間引きをして、株間5cmにします。(ベビーリーフのようにする場合は間引きをしません)
種まき後30日が経過したら液肥をうすめて与えます。60日ころには株元から切り取って収穫できますが、外葉をかきとっての収穫もできます。
ベビーリーフの場合は子葉の間から本葉が2枚程度出たときにはさみで切り取って収穫します。
「寄せ植え」:野菜の組み合わせはリーフレタス、からし菜、ミズナ、ビオラなど
「レタスミックスベビー」:リーフレタスを小鉢にばらまきしたもの
〈リーフレタス〉
レタスはキク科の仲間で発芽・栽培適温は15~20℃とやや低めです。タネに土をかぶせると発芽しにくくなるので(好光性種子)タネまき後は軽く抑える程度とします。
60日後には15 cm程度になるので外葉から順次収穫していきます。サニーレタスは室内で栽培すると紅が淡くなります。
「レタスミックス」:リーフレタスの小苗をプランターに寄せ植えしたもの
〈ルッコラ〉
ルッコラはロケットサラダとも呼ばれ、近年のイタリア料理ブームに乗って、一般の食卓にも登場するようになって来ました。ゴマの香りとクレソンのような辛味が特徴です。小型の鉢に栽培しておくと、便利です。
「ルッコラ」:小鉢にばらまきして間引いたもの
〈クレソン〉
クレソンは夏の高温や強日照で栽培すると、辛味と苦味が増してしまいます。4、5月は畑でもいいのですが、6月以降は虫も多くつきますので、鉢での栽培がお勧めです。
虫さえ付かなければ栽培は簡単なので、室内の窓際に置きます。種子は小さく、1ミリリットルで約400粒以上ありますので、小袋ひとつで十分楽しめます。播種後30日後くらいから間引き収穫や葉を収穫します。
『スイスチャード』
ふだんそうやビーツの仲間で、露地栽培では草丈50 cm以上になります。葉の軸の色が赤、黄、桃、白など豊富で、10 cm程度でサラダに入れると彩になります。虫や病気が付くことはなく、丈夫で栽培は容易です。
種子の皮が硬いので一晩水に漬けておきます。種子は10ミリリットルで約100粒です。古い葉はえぐみがあるので、新葉を収穫するようにします。栄養素はホウレンソウにも優る緑黄色野菜です。
「みつば」:7 月に9cmポットにばらまきして10月に室内に入れると、新葉が出てしばらく楽しめるのでおすすめ。
『マスタード』『ミズナ』『コマツナ』
3種ともアブラナ科の葉菜で栽培は容易です。
マスタードには緑色のグリーンマスタードと茶色のレッドマスタードがありますが、ピリッと辛味があるのが特徴で、サラダや浅漬けに適しています。コマツナは春・秋用の生育の早い品種が適しています。ミズナは元々は京都の冬の野菜で、鍋物に利用されていました。大きくなった株を10~11月頃に外に置き、十分に寒さにあてると硬めですがしっかりした鍋や汁の実に向くミズナになります。
「ミズナとカラシナ」
『ミニトマトの育苗』
室内での育苗は日差しが弱いので、ひょろひょろに伸びてしまうのですが、ミニトマトは丈夫なので多少伸びてしまった苗でも生育します。
苗で売っていない品種は室内で育苗して、栽培できます。ポイントは発芽させるときは日差しより25℃以上の温度が必要です。発芽したらポット植として日当たりの良いところに置きます。4月上旬に種まきすると5月下旬には植えることができます。
〈寄稿〉
*「家庭菜園を楽しもう!」は今号をもちましていったん最終回となります。通算64回にわたるご愛読ありがとうございました。
渡辺農事㈱北海道営業所
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E-mail: adachi@watanabenoji.com
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2021_01_16 | 1・2月号 2021年 家庭菜園を楽しもう! 連載 | 育てる