食の安全は食品に関わるあらゆる産業界に求められる必須条件。農業界でも農畜産物の安全基準ともいうべき「GAP認証」へ向けた動きは活発だ。今回の取材先はJGAP認証を取得した『ルスツ羊蹄ファーム株式会社』(本社・留寿都村/藤田博勝代表)。記者は「株式会社ゆめ・きた・さぽーと」の大滝昇社労士(ASIAGAP指導員)と廣田陸奥夫税理士(同)とともに留寿都村にあるルスツ羊蹄ファーム本社を訪ねた。
文/山田勝芳
堅牢な会社組織を構築し農業6次化に果敢に挑戦
後志地方を象徴するものといえば「羊蹄山」だ。留寿都村からも均整の取れた美しい雄姿・蝦夷富士を眺めることができる。さらに、留寿都村では何といっても「ルスツリゾート」の本拠地、四季を通してレジャー客が訪れるスポットでもある。今回紹介するのは養豚業を営む『ルスツ羊蹄ファーム』で、同社はここ留寿都村に所在する。
道の駅「230ルスツ」に立ち寄ると、売り場にはルスツ豚を使ったウィンナーソーセージや生ハムが陳列されており、寄ったついでにお試しあれ。
さて、本論にはいる前に、会社の沿革を簡単に紹介する。1986年に「辻野ポーク有限会社」が養豚業としてスタートしたのがそもそもの始まりだ。2019年に現在の社名「ルスツ羊蹄ファーム株式会社」に変更した。同時に食の安全を絶対条件とすべくJGAPとHACCPの認証農場となった。
同社はこれを機に、生産から製造・加工、販売まで一気通貫で6次化を目指すことになる。それをグループ内で担うのは『北海道ルポル産業株式会社』(藤田純子代表)で、2020年に新規で設立された。農場の、営業力強化に向けた並々ならぬ意気込みが伝わってくる。
豚にも人にも環境にもやさしい農場を目指す
「子豚は温度管理に細心の注意をはらう」と語る農場長の夏井仁さん
豚は非常に細菌に弱い家畜ゆえ農場内の立ち入りは原則禁止だ。
豚の飼育は繁殖、分娩、肥育とあるが飼育管理がスムーズにいくようにIT化、loT化され、加えてロボット活用によって省力化、効率化、労力の軽減化が進められ、豚と人の接触度を少なくしている。また、糞尿はたい肥化されて地域の農業に活かされている。
特筆ものは従業員の福利厚生の仕組み。性別、年齢、国籍を問わず誰でも働きやすい環境づくりに力を注ぐ。従業員のスキルアップのため「資格取得補助制度」もある。リフレッシュ休暇とか健康管理のためのスポーツジムもある。協賛事業としては「札幌エクセルアスリートクラブ」の応援がある。社内にはマラソンクラブもあり、大会に出場する。まさに豚にも人にもやさしい職場だ。
2023_03_22 | 2023年 3・4月号 GAP認証農場を訪ねて イーハトーブ 連載 | GAP認証, ゆめさぽ, 畜産, 育てる, 酪農