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特集記事

2018_09_24 | 2018年 9・10月号 特集 | , , | 編集部イーハトーブ

木と生きる、木と暮らす 〜津別町の取り組み 〜

マチの総面積716,6㎡のうち、森林面積が86.42%を占める津別町は、林業に関連する産業が発展して来ました。関連する事業所も12を数え、地域の雇用確保にも大きく貢献しています。佐藤多一町長に津別町の林業の取り組みをお聞きしました。

佐藤 多一 町長

愛林のまち津別町

 

– マチと林業・林産業との関わりをお聞かせください。

 

佐藤

わがマチのキャッチコピーは“愛林のまち津別町”です。昭和57年に当時の小南町長が全国に先駆けて“愛林のまち”を宣言しました。このことからも今日の発展に林業がどれほど重要な役割を果たしたかが想像できると思います。
それを象徴するものとして「つべつ木材工芸館」があります。木の博物館で、吹き抜けには巨木の立ち並ぶ森を再現。ウッドクラフトの展示販売コーナーのほか、木工体験工房では初心者でも木工クラフト体験ができます。今は残念ながらリニューアルのために休館していますが、来年の4月には再オープンします。
林業がわがマチの発展に寄与してきましたが、それでも町の人口は減り、林業関係の工場も少なくなっています。しかしまだ、木を植えて、伐って、加工するための一連の企業は全部そろっています。

 

つべつ木材工芸館

 

その中で、最大の企業は丸玉木材です。年商は500億円ほどで、津別町に本社を置き、舞鶴や茨城に工場を持っています。町内にある津別病院も経営しています。本社で340人ぐらい、病院では80人ぐらいが働いていて、町の雇用にも大きく貢献していただいています。
丸玉木材では優れた取り組みを行っています。年間30万㎥の木材を合板に変えていますが、その時にでる不要の材はこれまで産業廃棄物ということで、お金を出して処分してもらっていました。それを「津別単板協同組合バイオマスエネルギーセンター」という施設を造って、不要の材を燃やして工場内の電気と熱を全て賄い、余った分は北電に売っています。
また、横浜を本社とする「横浜崎陽軒」のシュウマイ弁当の箱は、全部、わがマチで作っています。プラスチックの弁当箱では蒸気が吸収されず冷めたらご飯がまずくなります。木で弁当箱を作ることにより、おつの役割を果たし、冷めてもおいしいごはんを食べることができます。町内にある加賀谷木材と三共で製作しています。さらに、成田さんのお札もこちらで作っています。

 

丸玉木材

 

バイオマスエネルギーセンター

 

林業大学校の開校を追い風に

 

–  2020年には林業大学校が開校しますね。

 

佐藤

道が2020年度の開校を目指している林業の担い手育成機関が「北海道林業大学校」です。講義を行う本部機能は、旭川市で最終調整を行っています。津別町も立候補しましたが、実習拠点として貢献できそうです。林業大学校の教育課程は2年間で、定員は1学年40人の予定です。

オホーツク管内も西の方は森林地帯であり、東の方は加工の方が進んでいます。林業に関してはすばらしいエリアだと思っていますので、北海道林業の発展に寄与していきたいと思っています。

 

木材利用をさらに進める

– 木材加工も盛んですね。

 

佐藤

木材加工品の展示会があれば、その旅費を助成したり、新たに起業すれば、一定の基準で助成をしています。
また、6月には山上木工が廃校を利用して2つ目の工場を造り、椅子や家具を販売する直営インテリアショップ「ツクール」を開業しました。経産省のクールジャパンにも選ばれ、そこの椅子は東京のヒルトンホテルの結婚式場にも使われています。

また、町産材を使った新庁舎の建設も計画していて、今ちょうどその議論の真っ最中です。基本設計の予算は議会で認められ、プロポーザル(企画、提案)を9月末までに出してもらい、業者を決定します。来年の秋頃には着工する予定です。今ある庁舎横の駐車場一帯に、新庁舎を建てます。その後、旧庁舎も壊し、バスターミナルと図書館を建設する予定です。
今年2月には上川管内の当麻町が町産材を使ったすばらしい新庁舎を建てました。解体撤去費を含めて13億円ほどかかったようです。菊川当麻町長には懇意にしていただいていますので、助言をいただきながら進めて行きたいと思います。

ただ、ひとつ気になっているのが耐震性の問題です。木造建築物であれば震度6強が限度です。もっと高い耐震性を求めるのであればやはりコンクリートになってしまいます。どこで折り合いをつけるか。今後の大きな課題になりそうです。
一方、10月11日(木)・12日(金)に津別町で、「第4回全国木のまちサミット2018inつべつ」が開催されます。
このサミットは、木材利用に取り組もうとしている全国の市町村の関係者が一堂に会し、地域材利用促進のための課題とその解決策を一緒に考え、木材利用の促進と国産材自給率の向上を加速化する足掛かりとするものです。津別町の林業・林産業、木材利用を事例として全国発信の場としたいと思っています。

 

―今日はお忙しい中ありがとうございました。

 

●津別町役場

北海道網走郡津別町字幸町41番地

TEL: 0152・76・2151

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