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特集記事

2022_07_01 | 2022年 7・8月号 特集 | , , , | 編集部イーハトーブ

【市川農場】「ゆきひかり」の復活と「ゆきひかりぽんせん」の開発を後押し!

「ゆきひかり」の復活と「ゆきひかりぽんせん」の開発に向けて、市川農場はどのように関わってきたのか。そこには人との出会いや商品開発に向けてのたゆまぬ挑戦がありました。

米アレルギーに耐性のある「ゆきひかり」

「ゆきひかり」は、昭和59年に道内で開発されたうるち米の品種です。平成元年には道内のうるち米の栽培面積の約53%を占めていましたが、現在ではほとんど栽培されていないお米で、道内でも約1%しか栽培されていません。市川農場では昭和59年から平成元年まで栽培していましたが、平成5年に栽培を復活させ現在に至っています。

 

市川農場

 

なぜ栽培を復活したのか。それは米アレルギーに何らかの影響を持つアミロペクチンが少なく、アレルギーが出にくいと言われていたこと。また、「ゆきひかり」が悪玉菌を退治することも北海道大学の教授から発表され、他の品種とは違う用途での活用が期待されました。
「平成5年に農場に一人の若い母親が、ゆきひかりを求めて訪ねてきました。子どもがアトピーなので安全に栽培されたゆきひかりを懸命に探しているとのこと。さらに、有機栽培で栽培していただけないかと求めてきました。私は栽培を約束し、1年後に約束どおりその母親にゆきひかりを提供することができ、とても喜んでいただきました」と代表の市川範之さん。

「現在、世に出ているお米は粘りが強い品種が多く、もち米のように澱粉質のアミロペクチンが多いと消化吸収が早く糖の吸収が早い。例えばコシヒカリやゆめぴりかは美味しいお米ですが、粘りの成分が多く含まれています。しかし、ゆきひかりは粘りが少ない品種同士の掛け合わせでできた品種なので、糖の吸収が一般のお米よりも緩やかな機能性があり、現在では希少なお米であると思います。そのような知識の中で有機肥料を使用して、農薬不使用のゆきひかりをその母親に提供しました」

その出来事が「ゆきひかり」を栽培する大きなモチベーションになったと話します。

 

ゆきひかり

 

商品化が困難といわれていた「ゆきひかりぽんせん」

一方の「ゆきひかりぽんせん」。「ぽんせん」とは「ぽんせんべい」の略で、お米や玄米などに強い圧力をかけて膨らませた素朴なせんべいのことです。
その「ゆきひかりぽんせん」を最初に考案したのが、旭川市の調剤薬局に勤め、食品アレルギーに強い関心を持っていた佐藤公寿さん。佐藤さんはアレルギーを持つ子どもたちが、安心して食べられるお菓子を作ってあげたくて、たどり着いたのが「ゆきひかり」であり、積極的に栽培している同じ市内の市川農場でした。

 

ゆきひかりぽんせん

 

「当農場で栽培したゆきひかりを提供し、千葉県にある食品会社で試作品を何度も作ってもらいました。私自身も打ち合わせのため、千葉にも行きました。そして、3年もかけてようやく商品化にこぎつけることができました。完成したゆきひかりぽんせんは発売から10年以上経過しましたが、現在は市川農場の有機JAS認証のゆきひかりが使用されておりリニューアルしています」と市川範之代表。
食品アレルギーは様々ですが、「ゆきひかり」は体質に合う方々にとっては必要とされているお米です。このことも「ゆきひかり」という品種の大きな魅力のひとつになっています。

 

●農業生産法人市川農場

旭川市西神楽3線8号

TEL: 0120・049・397

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