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特集記事

2020_01_15 | 1・2月号 2020年 特集 | , , , | 編集部イーハトーブ

木と生きる、木と暮らす ~芦別市の取り組み~

空知管内の中心部に位置する芦別市の総面積は約86,000ヘクタール。その内、森林は約88%を占め、林業や木材産業の盛んなマチです。荻原貢市長にその取り組みをお聞きしました。

林業を更なる成長産業に

 

―今行っている林業、木材産業への取り組みを教えてください。また、今後その取り組みがマチの活性化にどう結びついていきますか。

 

荻原

わがマチの約88%が森林です。その内の約91%が国有林、約3%が道有林、約5%が私有林、約1%が市有林となっています。
一つ目の取り組みとして、植栽なり、保育なり、間伐なりを実施することにより適切な森林整備を行っています。このことにより国土の保全、温暖化の防止、水源の涵養、林産物の供給などにより、森林が持つ多面的な機能を発揮させる。そして、そのような施策により、質の良い木材を産出することに繋がっています。
2つ目の取り組みは、林業、木材産業の担い手の確保です。これは喫緊の課題で、道や関係団体、教育機関などと連携して、インターンシップの受け入れを積極的に行っています。参加された学生が、卒業後の雇用に結びついており、確実な実績を上げています。また、来年開校される「北森カレッジ」にも大きく期待しているところです。
3つ目の取り組みは、この豊富な森林資源の更なる活用で、木質バイオマス事業を積極的に行っています。市内で生産した木質チップを原料にした木質バイオマスボイラーを市内にあるスターライトホテルに導入しました。これは地域の経済循環に繋がり、CO2の排出削減にもなり、広く言えば地球温暖化の防止にもなっています。
一方、このような取り組みが、公営住宅の建築ということで市民の方々にも直接還元されています。平成20年から26年にわたり、芦別産のカラマツ材を使い、公営住宅を10棟建てました。また、昨年度からはさらに7棟を建設中で、これらの地材地消の取り組みによりマチの活性化にも寄与しています。

 

荻原 貢 市長

 

木質バイオマスボイラー

 

来年開校する「北森カレッジ」で担い手の育成を

 

―来年開校する「北森カレッジ」に期待することは何ですか。

 

荻原

ご存知のように「北森カレッジ」は、旭川市内の林産試験場に本校が置かれ、来年4月に開校する、林業や木材産業の担い手を養成する学校です。わがマチもこの学校の誘致には先陣をきって立候補させていただいたという経緯があります。そのようなこともあり、わがマチは講義拠点という地域指定をいただきました。そこで廃校した小学校の校舎やグランドを講義や林業機械の実習に使用していただく予定でいます。
一方、道外にはこのような林業学校が18校もあります。1学年の定員は20名ほどの学校が多い中、「北森カレッジ」は1学年の定員が40名となっています。北海道は広く、森林面積も広いので、このような募集人数になりましたが、しっかりと募集に向けた努力をしていかなければならないと思っています。だから、全国くまなく学生募集をしていただきたい。我々も道に頼るだけではなく、一緒に道外からもお越しいただけるように頑張っていきたいと思っています。

 

カラマツ公営住宅さつき団地

 

「スマート林業」が業界を変える

 

―どのようにして「スマート林業」への拠点化を目指して行くのですか。

 

荻原

ICTを活用した林業を「スマート林業」と総称しますが、この普及により、林業の効率化や省力化を達成できるだけではなく、就業者の安全対策にも大きく寄与するはずです。今はまだ調査、研究の段階ですが、北海道や他の地域と連携し、ノウハウを蓄積して、次のステージに向かいたいと思っています。
特に期待しているのが、ハーベスタによる最適採材を実現するシステム(バリューバッキング機能)の普及です。ハーベスタとは伐採する大型の高性能林業機械のことで、数年前までは人の経験や勘で伐採していましたが、これをIOTの技術を使い、誰でも最適に採材できるようにするものです。
このような林業機械の高機能化は日進月歩で進み、「3K」と呼ばれていた時代も昔の話となりつつあります。
一方、芦別市では他の市町村ではあまり行っていない分収造林を行っています。森林所有者の中には山はまだ売りたくはないが、管理をするのが難しいという所有者も多くいます。そこで芦別市が山を管理をするので、山からの収入の一部を芦別市に払っていただくという契約です。地元に所有者が不在のため、管理ができず、山が荒れ放題になることを防ぐこともできます。
現在、これだけ自然災害が頻発している時代にあって、森林が果たす役割は更に重要になっています。土砂崩れなどの災害から森林が守ってくれる。森林の適正な管理が災害の大きな防御になる。所有者としっかりと意思疎通して進めて行きたいと思っています。

 

―今日はお忙しい中ありがとうございました。

 

ハーベスタの作業風景

 

 

 

●芦別市役所経済建設部農林課

芦別市北1条東1丁目3

TEL: 0124・22・2111

 

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