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特集記事

2019_09_23 | 2019年 9・10月号 | , | 編集部イーハトーブ

被災地3町で活躍するスマートモデューロ
㈱アーキビジョン21の取り組み

スマートモデューロで被災地を救え

北海道胆振東部地震から1年が経ちました。発生後、被災地で大きな注目を集めたのが、スマートモデューロと言われるコンテナ型のムービングハウスでした。このスマートモデューロを開発販売しているのが、千歳市に本社を置く(株)アーキビジョン21(丹野正則社長)です。
スマートモデューロは、コンテナ(ユニット)を連結することにより、希望する広さに対応することができます。そして、家具や寝具を備えた状態で移動することができるので、給排水と電気設備を接続すれば即入居が可能です。在庫があればすぐに設置ができ、新たに製造する場合でも2週間ほどで組み立てることができます。
地震発生後、むかわ町では、道の駅「むかわ四季の館」敷地内のボランティア宿泊棟として2ユニットを無償で貸し出しました。また、鵡川高校学生寮として16ユニットで36室分、食堂用に5ユニットを連結して貸し出しています。
安平町では、市街地の仮設住宅では農家の人たちが営農に不便なため、自宅に近い同町守田地区に16ユニット、8世帯分を民間仮設住宅として設置しました。また、厚真町では厚真中央小学校内に避難所として5ユニットを提供しました。

 

スマートモデューロ

 

年間10000棟を全国に供給する

同社の創業は1982年4月。住宅メーカーとして数多くの実績を積み重ね、2014年からスマートモデューロの生産を開始しました。
「当初、スマートモデューロは、災害時の仮設住宅を目的として開発されたものではありませんでした。使われない土地に基礎から建てるとお金がかかる。安く建てるためのものとして開発しました。しかし、2018年におこった西日本豪雨や北海道胆振東部地震で災害時の住居として利用されることにより、新たな価値を見出しました」と同社代表の丹野氏は話します。
「道内に千歳、札幌手稲、札幌美しが丘の3ヵ所にスマートモデューロの展示場があり、合計180棟を展示し、年間のべ10000棟の住宅を全国に供給することを目的としています。現在はビジネスパートナーとして協力体制にある20社前後の企業と連携しています」

 

丹野 正則 社長

 

これからの大災害に備えて

「しかし、内閣府によると、南海トラフ地震で最大684万戸、首都直下地震で同じく314万戸の住宅が全壊・半壊すると想定され、これにより南海トラフは最大205万戸、首都直下は同じく94万戸の仮設住宅が必要と推計しました。今のままではまったく足りません。早急に激甚災害時に役立つような体制の構築を国と共に目指していきます」と丹野氏は将来起こるであろう大災害に警鐘を鳴らします。
今、スマートモデューロの役割は北海道に止まらず、日本各地で発生する災害に確実に備えるものになっていかなければなりません。

 

(株)アーキビジョン21

千歳市泉沢1007-168

TEL: 0123・28・8811

 

 

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