IHATOV|イーハトーヴWEB北海道|北海道のフリーペーパー

IHATOV|イーハトーヴWEB北海道|北海道のフリーペーパー
  • 紙面版を見る

特集記事

2024_11_16 | 11・12月号 2024年 編集長のひとりごと | | 編集部イーハトーブ

【編集長のひとりごと】
札幌は消費地として本領発揮すれば生産地たる地方に好循環が生まれる

都市と農村、消費者と生産者を結ぶ交流新聞「イーハトーヴ」に合致する〝ある構想〟を思いついた。わかりやすく表現すれば「一大消費地である札幌市は農林漁業の生産地である地方のために何ができるか」なのだから、地産地消の徹底的な取り組みだ。本紙が食材の地場産率を上げる食卓(厨房)革命を訴えてきたのもこのためだ。今度は視点を変えて、食材ではなく「地材地消」で考えてみたい。

今春始まった森林環境税は道民個々が納めるものだから、人口の集中が進む札幌市は税金の総額が突出して大きくなる。もちろん札幌市にも林業はあるが産業としての比重は大きくない。本来は林業のマチにこそ大きな財源が必要だが、人口に比例して税収も少額だ。そこで、林産地に効果がある構想を考えてみたい。
札幌市で〝道産材使用量〟を高める「地材地消」政策を推進することだ。中低層の公共施設を道産材使用の木質建造物に転換すると、地方に所在する森林・製材産業界にプラス効果を生む。同時に、二酸化炭素削減にもなる。
また、札幌市民が道産材を使用した住宅などを建てる時、助成金が出る仕組みを創れば消費拡大がさらに加速される。札幌市は全市上げて「地材地消」を促す政策を進めると、市民も自ずと環境や地方応援に目を向けることになるはず。

道都は札幌市だがこれは国の行政が決めたもの。他の自治体のボス的な存在かといえばそうでもない。地方は人口流出が止まらず、一方の札幌市は一極集中で医療や教育など都市機能が集中する。
実際、行政として地方のための具体的な政策はなきに等しかった。だから、本紙は消費者である札幌市民に地産地消で生産地を支えようと呼びかけてきた。森林環境税は地方応援できる絶好の機会とみる。

理想だが、北海道を一つの共同体とみて支え合えたら素晴らしい。しかし、現実は厳しい実態だ。
人口減少と離農加速でスマート農業が推奨されるが、それは淘汰されることが前提にある。
これは違う。人口が少ない分、見合った生産量になる、つまり少量生産時代に突入だ。現在の大型化ありきは負担増加につながるのではないか。
北海道が一つの共同体で生き延びるには、札幌市が名実ともにボスの振る舞いが求められている。

2024_11_16 | 11・12月号 2024年 編集長のひとりごと |