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特集記事

2025_03_27 | 2025年 3・4月号 巻頭記事 | , , , | 編集部イーハトーブ

キャンパスは「写真の町」東川町 ここで学ぶ福祉と国際文化

北海道のほぼ真ん中、大自然に囲まれた東川町がある。ここで「写真甲子園」が毎年開催され、現在では全国にその名が知れ渡っている。まち全体が被写体だから、とにかく景観がいつも良好に保たれている。大雪の地下水がそのまま飲用に、それを求めて来る移住者も多い。今度はどんなステージが待つのか。

創立50周年を機に校名を一新し百年へ一歩

今年4月から、「旭川福祉専門学校」から「東川国際文化福祉専門学校」に校名が変更となる。呼称「福専」は同じだが、ロゴマークは斬新なデザインに一新した。
旭川で創立して今年で50年、1992年に東川町に移転してから33年経ち、地域住民から「福専」と呼ばれ親しまれてきた。この間、学び舎で保育・幼児教育・福祉・医薬・日本語を学んだ多くの日本人学生や海外留学生が巣立っていった。町を歩くと多文化を感じ、豊かな国際性を体感できる、町特有の雰囲気、これが東川バージョンだ。

筆者は50年ほど前に、古い時代の「東川町役場」を訪ねたことがある。廊下や床は歩くとぎしぎしと音がする板張りだった。町なかの風景も何の変哲
もない、ごく普通の風景だった。それから半世紀たった今、端正にまとまった街並みの様変わりに驚かされる。変化の始まりは「写真甲子園」の開催と共に変容していったのは間違いない。人口減少でだんだんと衰退していく自治体が多い中で、微増とはいえ人口が緩やかな上昇線を続けられることは稀なケースだ。
学業は2年間だが、その間学生たちは高齢者や子どもたちとの交流や地域住民と一緒になっての活動に参加する。大都市の専門学校ではなかなかできないことが可能になる。これが〝東川流〟そんな雰囲気を持ったまちだ。

 

今度、校名が「東川国際文化福祉専門学校」になるが、「日本語学科」には現在、東南アジアを中心に14の国と地域から来た留学生たちが学んでいる。
言語、文化の違いはお互いの若さが取り除いてくれる。

 

海外留学生と町民との交流はたちまちインターナショナルな雰囲気になっていく。これを一地方都市でやれるのだから「東川町は凄いまち」とつい形容したくなる。
海外留学生、移住者、地域おこし協力隊、これらの共通するキーワードは若さだ。若者が集うまちには活気が生まれる。住民の平均年齢は知らないが東川町は自治体の中でも若者が際立って多い町といえる。

 

キャンパスは「写真の町」東川町 ここで学ぶ福祉と国際文化

4つの学科からなる東川国際文化福祉専門学校

福専は「こども学科」「介護福祉科」「医薬福祉学科」「日本語学科」の4学科からなる。他の専門学校と明確に違う点は、東川町が学生の勉学や地域での生活をしっかりとサポートする仕組みになっていること。特に外国人留学生を介護福祉士として育成すべく、2018年に「外国人介護福祉人材育成支援協議会」(会長・菊地伸東川町長)を設立、多くの外国人卒業生が介護施設など福祉の現場で活躍している。
介護福祉士の確保は今ではどの自治体にとっても喫緊の課題、同協議会の正会員は28市町村に上る。1人2年間で740万円の奨学金が出るほか学費、寮費、生活費を月7~10万円出すことでアルバイトせずとも勉強できる環境を整えた。各自治体にとっては確実に人材確保できるメリットがある。

町の複合交流施設「せんとぴゅあ」の中に「ひがしかわ多文化共生室」がある。ここは外国人留学生と町民が交流する場として活用されている。留学生の就職などの相談の窓口としても機能する。
また、茶道など日本の文化を教えたり、花見や盆踊りなどの日本的イベントを企画したり、留学生が参加しやすい雰囲気づくりに努めている。まさに留学生にとっては至れり、尽せりの気配りが行き届いた町だ。

 

写真上の3点はそれぞれの学科の実習風景写真下段左が第1校舎、同右が第2校舎

 

日本語学校が2つ町になじむ留学生たち

福専に「日本語学科」があるほか、町立の「東川日本語学校」がある。福専は修学期間1・5年と2年で200名が学ぶ。町立は100名の留学生が学ぶ。今では町民も外国人が身近にいることに慣れているが、東川町の人口は約8,600人、ここに語学留学生が常時300名、そのほか介護福祉科の留学生もいるからいい頻度で外国人と遭遇することになる。介護人材の確保は困難を極める中、東川町では自治体と町民が一体となってバックアップしている。

 

 

就職率100%文句なしの卒業生

文句なしの自然環境と親身になって接してくれる東川町民と、実際の現場で子どもや高齢者と接しながら学ぶ実習現場で育まれた貴重な実体験、いよいよ巣立ちの時、彼らの就職率はどうだったのか調べてみた。
「こども学科」は47年間連続で就職率100%だ。昨年度は全国から7846名、道内から2112名の求人があったから凄い。
「介護福祉科」の求人は道内215件1348名の求人が殺到、もちろん就職率100
%だ。
「医療福祉学科」も業界就職率100%。
「日本語学科」は合格率で比較する。「N1合格率」(昨年7月)は国内平均が 31・5%だったのに対し、「日本語学科」は52・9%。「N2合格率」全国が33・5%だったのに対し、62・1%。「N3合格率」(昨年7月)は全国は38・5%に対し70・4%高い合格率を誇る。どの学科の卒業生も100%の就職率だった。

 

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