今回ご登場いただくのは、ふらの農業協同組合の前青年部長・鹿野博史さん。大学で酪農経営経済学を学び、会社組織としての牧場経営に徹している酪農家です。将来的には、肉牛との複合経営にしたいと話す鹿野さんに、牧場経営の最新事情について聞きました。
経営経済学専攻し酪農へ
父親が始めた鹿野牧場の経営を引き継いで、今年で5期目となる鹿野さん の肩書は、㈱鹿野牧場の代表取締役社長。大学では酪農経営経済学を専攻しました。
子どものころからごく自然に、酪農の道に進むと考えていましたが、本格的に取り組んだのは、大学卒業後、牧場に帰ってきてからだそうです。
牛舎に立つ社長の鹿野博史さん(右)と、社員の三浦裕人さん(左)
鹿野さんは、徹底して数字の面から酪農を考え抜き、あくまで会社組織として牧場経営を行っています。そのためにも牛の健康、特に繁殖に力を入れていて、親牛をしっかり健康に育てることを心がけているそうです。
「飼育はつなぎ飼いで、自動給餌機やロボット哺乳機、IT技術などはすでに導入済みです。餌は牧草とデントコーンを中心に、自分で刻んで作っています。現在は経産牛60頭を搾っていますが、和牛繁殖を導入しようか模索中で、将来的には30~40頭を搾って、和牛との乳肉複合経営を考えています」
待遇を一般企業並みに
現在、牧場の作業は、鹿野さんと社員2名の3人体制で行っています。実は、乳肉複合経営も、純粋に会社として考えた中での選択肢でした。
「うちの社員は2人とも本当に良く働いてくれます。こちらもそれにきちんと応えなければなりません。和牛を導入して搾乳を減らすのも、社員の労力を軽減し、休みもきちんと取らせてあげたいからです。いい社員だからこそ、待遇を向上していきたい。うちでは年に一度、面談してお互いに言いたいことを言い合って問題を解決しますし、昇給もしています。もちろん、賞与も休日出勤手当も時間外手当もきちんと出していますよ」
数字の面では負けないし、社員の待遇は一般企業並みにしたいと力強く話す鹿野さん。そのためにも、牧場経営の基盤をしっかり強化して備えていきたいとのことでした。
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プロフィール
38歳。飼養頭数120頭(うち経産牛60頭)。年間出荷乳量約750t(前年)。耕地面積約90ha。